第34回(2016年度)毎日ファッション大賞の授賞式リポート

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第34回(2016年度)毎日ファッション大賞の授賞式リポート

第34回(2016年度)毎日ファッション大賞の授賞式リポート

第34回(2016年度)毎日ファッション大賞の授賞式リポート

2016年度(第34回)の毎日ファッション大賞の授賞式が11月2日に開催され、今回も推薦委員を務めた私も参加しました。日本で最も重みと歴史のあるファッションアワードだけに、会場は華やいだ雰囲気に包まれました。

新人賞・資生堂奨励賞に選ばれた「PLASTICTOKYO(プラスチックトーキョー)」の今崎契助デザイナーは会場でランウェイショーを披露。本来はメンズ主体のブランドですが、この日は数ルックのウィメンズも登場。オーバーサイズの装いを見せました。もともとジェンダーレス的な雰囲気があるだけに、女性の目から見ても参考になる提案でした。デビューから東京コレクションで見続けてきたので、今回の受賞を喜ばしく感じました。

 

第34回(2016年度)毎日ファッション大賞の授賞式リポート

受賞後の囲みインタビューでは、若くしての受賞に恐縮気味でしたが、東京らしさの代表的なブランドになれるよう、さらに励む気持ちをコメント。この日のショーは2017年春夏・東京コレクションとほぼ同じ構成で、テーマは「入国審査」。見た目が前後で大きく異なるルックのような、ウィットに富んだストリートスタイルを示していました。

 

第34回(2016年度)毎日ファッション大賞の授賞式リポート

鯨岡阿美子賞を受賞したカイハラ株式会社の貝原良治・代表取締役会長は受賞理由にふさわしく、全身をデニムでまとめ上げていました。ジャケットとパンツはもちろん、小物やアクセサリーに至るまですべて日本のデニムでそろえ、ジャパニーズデニムを早くから世界に向けて発信してきたことへの思いを表現。「私の血の色は青色」というコメントにもデニムへの自負がにじんでいました。前回はニューヨークでパターンづくりに高い評価を得ている「大丸製作所2」がこの賞を受けていて、日本の丁寧なものづくりがあらためて認められたことに誇らしい気持ちを覚えました。

 

第34回(2016年度)毎日ファッション大賞の授賞式リポート

話題賞将棋の棋士で、第74期名人の佐藤天彦氏が選ばれました。「貴族」という愛称を持つ佐藤氏は独自のファッション美学でも有名。とりわけ「アン ドゥムルメステール」のコレクターとして知られています。ブラックでまとめたこの日の装いもシャツ以外はすべて「アン ドゥムルメステール」で統一。編み上げのロングブーツまで同ブランドの品だそう。おしゃれぶりが認められての晴れ舞台だけに、「今日は『足し算』のおしゃれで来ました」と、着こなしでも喜びを示していました。

近頃は別のブランドもそろえるようになってきたとはいえ、やはりワードローブで最も多いのは「アン ドゥムルメステール」だとか。どうしてそこまで好きなのかと尋ねると、「10年ぐらい前に見たとき、ロマンティックさや繊細さに引き込まれました」と説明。中近世の西洋服飾史に興味があるそうで、同ブランドはそういった要素を現代風に解釈している点が好きなのだとか。「将棋もファッションも個性を出すところが大事な点で共通している」と分析。以前から対局の際も紫の着物が目立っていたおしゃれ棋士らしい独自の見方も披露してくれました。

好きなブランドやデザイナーをこういう風にはっきり語れる人は近頃では少なくなってきた感じがあります。しばらく前は自分なりの「目利き」にポリシーを持ち、ごひいきのブランドを買いそろえるおしゃれ好きも珍しくなかったものですが、近年は割と若い年齢層ではそういう傾向が薄れていると聞くだけに、佐藤氏の語る「ブランド哲学」は何だか頼もしく感じられました。

 

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日本のよさを発信している、ビームスの商業施設「ビームス ジャパン」(東京・新宿)は特別賞を受けました。設楽洋社長によれば、日本にフォーカスしたショップの準備はずいぶん前から始めていたそうです。設楽氏が英国の紳士服街「サヴィル・ロウ」で有名テーラーを訪ねた際、気に入った生地をほめると、「それは日本の着物の生地だよ」と返され、日本のよさをアピールする意義を感じだといいます。ファッション以外に飲食施設も充実している「ビームス ジャパン」には足湯まで設けて、全館で日本の魅力を強調しています。

ビームスはもともとアメリカンなライフスタイルを日本向けに伝える役割を担ってきました。でも、現在では日本発のアプローチを強めていて、「ビームス ジャパン」はそのシンボル的な存在。設楽氏は「匠(たくみ)から『おたく』まで扱っているのはうちだけだと思う」と語り、これからも和と洋両方のにおいがするカルチャーを発信していくスタンスで臨む意欲を示していました。

 

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大賞に選ばれた、「FACETASM(ファセッタズム)」落合宏理デザイナーにとって、この大賞は「学生時代からあこがれていた賞」。それだけに「いつかは必ず取らなければいけない」という意識があったそうです。2013年に新人賞を受賞してから3年でのスピード受賞とあって、本人も「こんな短期間で受賞できて光栄。これも時代のスピード感」と喜びを見せていました。

若手を支援する国際賞「LVMHプライズ」で日本人としては初のファイナリストに選ばれ、欧米のトップデザイナーと接する機会を得たことは「刺激になった」。リオデジャネイロ五輪閉会式の衣装を担当したことも大きな経験となったよう。発表の場を海外に求め、今や世界的な注目を集める存在に。でも、今回の受賞は大勢のサポートのたまものとして、スタッフに「おめでとう」と述べるのを忘れなかったのも、この日の印象的なシーンでした。

落合氏が自ら語ったように、この年齢での大賞受賞は彼に続く若い世代のクリエイターにとって目標や励ましになる気がします。この賞が新鋭の発掘や支援に役立つなら、かかわっている一人として私もうれしく思います。受賞者の皆様、本当におめでとうございました。

 

第34回(2016年度)毎日ファッション大賞の授賞式リポート

第34回「毎日ファッション大賞」
http://macs.mainichi.co.jp/fashion/

 

 

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