1960年代以降、ずっと世界の最重要アーティストであり続けているのが横尾忠則氏です。その横尾氏の大規模展覧会「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」が東京都現代美術館(MOT、東京都江東区)で2021年7月17日(土)~10月17日(日)に開催されます。前日に開催されたプレスプレビューに行ってきました。
MOTの会場に足を踏み入れると、エモーションや霊性を帯びた、大迫力の「横尾ワールド」にぐいぐい引き込まれていきます。現実から逃れて、ファンタジーの世界に身を任せたくなる、今の気分にぴったり。強く、たくましく、そしておどろおどろしいエナジーの世界に誘ってくれます。
タイトルの「原郷」は、すべての人間の魂のふるさとという意味で、そこから汲み出した、豊かで奔放なイメージの世界が「幻境」。本展では「原郷」と「幻境」を行き来するかのようなスピリチュアルな旅を、多くの作品を通して疑似体験できます。
多作で知られる横尾氏の絵画やグラフィック作品を含め、500点以上を集めた大規模展です。パワフルでダイナミックな作品群は、展覧会場に身を置いて、じかに感じ取るのが一番の鑑賞法。集大成とも言える本展は貴重な機会です。
1階のエントランスでは、マスクをコラージュしたフライヤーで、コロナ禍をアートにねじり返す試みも披露。「WITH CORONA(WITHOUT CORONA)」シリーズは既に700点を達し、SNSやブログを通して世界に発信されています。
際立った才能を発揮し続ける横尾氏には、ファッションブランドからもコラボレーションのオファーが相次いでいます。「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE(エイポック エイブル イッセイ ミヤケ)」は共同プロジェクトを立ち上げ、第1弾商品の「TADANORI YOKOO ISSEY MIYAKE 1」を7月1日に発売。男女兼用のジャケットとパンツを企画しました。横尾氏が長年手がけている、「イッセイ ミヤケ」のパリコレクション招待状がモチーフに選ばれています。
実はこの夏は「横尾サマー」と呼べそうなほどの展覧会ラッシュ。同じ7月に同じ東京で、「横尾忠則:The Artists」が2021年7月21日、「21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3」で幕を開けます(~10月17日)。パリのカルティエ現代美術財団が所蔵する横尾作品を中心に公開します。
さらに別の展覧会「YOKOO LIFE 横尾忠則の生活」が渋谷パルコ8階のギャラリースペース「ほぼ日曜日」で7月17日~8月22日に開催されます。また、丸の内ビルディング、新丸の内ビルディングの壁面には横尾氏と、ご息女の横尾美美氏の巨大壁画アートが登場します(7月17日~9月5日)。
最大規模のMOTを手始めに、この夏はたっぷりと横尾ワールドに浸ってみたいです。