「Mame Kurogouchi(マメ クロゴウチ)」はパリ・ファッションウィークで2021年9月28日、2022年春夏コレクション「Land」のムービーとルックブックを公開しました。黒河内真衣子デザイナーの故郷である長野をテーマに、淡い春の景色を様々な素材と共に織り上げたコレクションです。
長野県立美術館で開催された「10 Mame Kurogouchi」展の準備期間中に滞在した春の長野で、デザイナーは春の雪解けの下から芽吹く新たな生命の速度に足を止めました。空き地や土手に咲き乱れる草花や水路を淡いピンクに染める桜の花びらが、デザイナーを遠い過去の記憶へと連れ戻し、やがてその記憶は深い霧の先で微かに、淡い命の色をたたえる草花のイメージへと到達します。
水彩によるドローイングで視覚化された春の景色は、生まれ育った地で変わらず繰り返される命の営みを表し、その経過する時間がもたらすテクスチャーの感触は本コレクションを通じてオンリーワンのデザインや職人の技術と出会うことによって、糸へと託されます。白の水彩で幾度となく塗り重ねられた草花の姿は、糸を何重にも重ねたジャガードの生地へと生まれ変わります。
霧をたたえる山々の景色がデザイナーの持つミクロな視点と融合することで生まれたモチーフは、オーロラのように輝く糸の川を流れる春の花を思わせます。
コレクション全体を淡くにじませるグラデーション染めは様々な技法で複数の素材とともに表現されます。ブランドのシグネ チャーでもあるシルクは植物柄のジャカードが透明フィルム糸と共に施され、京都でグラデーションに染色されます。
職人の手により練られた染料が、特殊な技法により、混じり合うことで?地を染め、淡くたゆたうオーロラのような色を実現します。二重編みを施したコットンジャージーの生地には、着物などに用いられる板締め染めの技法を応用することで、春そのものをパ レットに閉じ込めたかのような豊かなグラデーション染色が施され、ドレープが美しいカジュアルなドレスやオーバーサイズのカットソーとして登場します。
繊細な透け感のリネン生地は、奈良県で蚊帳を生産する工場に依頼し、天然の麻を用いて編み立てられます。蚊帳越しに見るおぼろげな外の風景から、あいまいさという美を発見するかのように、リネンのドレスやクロップドトップがほのかに透けてみえる女性の肌を讃えます。
Mame Kurogouchiのデザインを代弁する柔らかな曲線のカッティングは今季、新たなアイデアと共にコレクションを形作る柱と して登場します。10 Mame Kurogouchiでもフィーチャーされたアーカイブ作品に見られる、穴の空いたディテールが今季、アップデートされたカッティング、シルエット、素材と共に登場します。
アクセサリーは今季、様々なバリエーションがラインナップされます。デリケートなカラーパレットの中においてユニークな輝 きをみせるのは、クリスタルがちりばめられたピアスやチョーカー、フープ付きのウォレットチェーン。深い霧の先で鈍い輝き を湛える朝露を思わせます。
ハンドメイドのマクラメバッグはショルダーバッグ、ハンドバッグともにビーズが贅沢に編み込ま れ、エレガントなカーブを描く麻のクロッシュハットはハットメーカー「KIJIMA TAKAYUKI」とのコラボレーションで登場。キャットアイ型のサングラスと共に、春夏のスタイルを上品に彩ります。
印象的なカーブ使いがエレガントなストラップサンダルは細いベルトと太いベルトのコンビ使いで足を華奢な印象に見せ、革をそのまま足にまとったかのようなヌーディーなスリッ プオンは、ローヒール仕様でアクティブさも兼ね備えます。
10周年を迎え、これまでのクリエーションを踏まえつつ、さらに前へ進んだコレクション。春のムードや、穏やかな生命感が装いに気品やフェミニンを漂わせています。