アカデミー賞の前哨戦といわれる第79回ゴールデングローブ賞で、映画『ハウス・オブ・グッチ』に主演したレディー・ガガが主演女優賞(映画・ドラマ部門)にノミネートされました。ファッション界の名門ブランドを巻き込んだスキャンダラスな事件を、『ブレードランナー』や『エイリアン』で有名なリドリー・スコット監督が映像化したこの作品は2022年1月14日に日本でも公開されます。
実話に基づくノンフィクション作品が原作になっています。ガガが演じたのは、グッチ家の御曹司に妻として迎えられたパトリツィア・レッジアーニ。夫のマウリツィオ・グッチと幸せな結婚生活を始めますが、家業から距離を置いていた夫が「グッチ」ブランドの経営に関わるようになるにつれ、欲望を隠さないようになっていきます。徐々に「本性」をあらわにしていく姿を、ガガは時折、どぎつさもにじませる見事ななりきりっぷりで演じています。
創業家の一族内で起こった経営権争いが横軸で、夫妻の関係が縦軸といった構図です。仲睦まじかった夫婦の中はこじれ、とうとう実質的に縁を切られてしまったパトリツィアは殺し屋に依頼する形でマウリツィオ殺害事件へと暴走していきます。大々的に報じられたこともあって、広く知られた事件ですが、あまり知られてこなかった家族間の心理やブランド経営の内奥に踏み込んで、物語に立体感を加えました。
ガガ以外にも、芸達者の俳優陣がそろいました。夫役のアダム・ドライバーや、いとこのパオロ役のジャレッド・レト、マウリツィオの父役のジェレミー・アイアンズ、事件の糸を引く占い師役のサルマ・ハエック。そして、パオロの父役では名優アル・パチーノが出演しています。
一族の内紛をあおる格好で、夫のマウリツィオに経営の主導権を握らせることに成功したパトリツィア。でも、家族を手玉に取るような手口はやがて夫から愛想を尽かされる結末を呼び込んでしまいます。
逆恨みのあげくに夫殺しを企てていくパトリツィアはかつての美貌が失われ、ゆがんだ内面が見た目にも表れてしまったかのよう。「グッチ夫人」の名声にとらわれてしまったパトリツィアの変わりぶりを表現したガガの演技も見どころです。
主要キャストらのキャラクターポスターとバナービジュアルも公開されました。グッチ家に嫁ぎ、華麗なる一族の崩壊を招きながら、やがて夫殺害の犯行に及ぶパトリツィア・レッジャーニ(レディー・ガガ)、パトリツィアに惚れ込み結ばれるも、傲慢な彼女の野望に振り回され、最後は殺害される夫・マウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)、「グッチ」ブランドの経営陣であるアルド・グッチ(アル・パチーノ)と、その息子でマウリツィオの従兄弟にあたるパオロ・グッチ(ジャレッド・レト)、マウリツィオの父・ロドルフォ・グッチ(ジェレミー・アイアンズ)といったグッチ一族。そして、パトリツィアが傾倒する占い師で、マウリツィオ殺害計画を共に企てた占い師、ピーナ(サルマ・ハエック)が顔をそろえています。
ファッション業界が舞台になっているだけに、登場人物のおしゃれな装いは作品を華やかに盛り上げています。日本が好景気だった時代と重なっているので、日本の話題も登場します。
上映時間は2時間30分を超え、やや長めですが、ラストまで一気に引っ張り込まれるストーリー運びはさすがのスコット監督流。次から次へとドキドキするジェットコースター的展開です。華麗なファッションのきらびやかさはもちろん、大きな見どころですが、同時に家族や欲望、人生などをいろいろと考えさせてくれる映画です。公開された予告のユーチューブからも映画の魅力が伝わってきます。ゴールデングローブ賞の授賞式は22年1月9日(現地時間)に開催される予定です。
2022年1月14日(金)より、全国ロードショー
house-of-gucci.jp
監督:リドリー・スコット
脚本:ベッキー・ジョンストン、ロベルト・ベンティベーニャ
原作:サラ・ゲイ・フォーデン『ハウス・オブ・グッチ 上・下』(実川元子訳、ハヤカワ文庫、2021年12月刊行予定)
製作:リドリー・スコット、ジャンニーナ・スコット、ケヴィン・J・ウォルシュ、マーク・ハッファム
出演:レディー・ガガ、アダム・ドライバー、アル・パチーノ、ジャレッド・レト、ジェレミー・アイアンズ、サルマ・ハエックほか
原題:HOUSE OF GUCCI
北米公開日:2021年11月24日(水)
配給:東宝東和
コピーライト:ⓒ 2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:house-of-gucci.jp 公式Twitter:@HouseOfGucci_JP 公式Facebook:@universal.eiga
公式Instagram:@universal_eiga