第5回 「東京発 日本ファッション・ウィーク」(JFW)
~2008年春夏東京コレクション~
■SOMARTA(ソマルタ)
デザイナー 廣川玉枝(ひろかわ・たまえ)氏
http://www.somarta.jp
テーマは「ENGRAVER(イングレイバー)」=彫刻者(心・記憶などに)刻み込む、銘記する、感銘させる、心に焼き付ける人。タトゥーのようなものが全身に刻まれたように見える全身タイツボディスーツは、無縫製(ホールガーメント)ニット。「スキンシリーズ」といわれる全身タイツはトライバル(部族)グラフィック柄で登場しました。スキンシリーズは、前姿を見ると編タイツのようにクロスされているのに、後姿は総レースになっていたり、前と後ろのデザインが違う脚は見ていてぞくっとしました。
「皮膚は第二の衣服」というデザイナーの思いが、さらに新しい皮膚柄となって表現されています。その上には2重編のトライバル模様レースにフリンジをトリミングしたニットスーツやニットワンピで合わせています。ナイロン素材のジャンパーやジャージー素材のドレスにもトライバル柄をグラフィックにプリントしたものもありました。さらにプリーツ加工をもどこしたりとテクニックを駆使したニットシリーズが次々に登場しました。袴のようなワイドパンツは新しい雰囲気。赤にゴールドという強烈な色合わせシリーズは部族の守り神のよう。
■LyricisM(リリシズム)
デザイナー(クリエイティブディレクター) 佐々木真由美(ささき・まゆみ)氏
http://www.optitude.com
会場の中に入るとアロマの香りが漂い、とても心地よい気持ちになりました。テーマは「ピクニック」。1975年の映画「ピクニック・アット・ハンギングロック」からインスパイアされたそうです、4人の女の子が神隠しにあってしまう内容で、ピクニックに行って行方不明になってしまう映画です。小説や絵画に出てくるような美しい女の子たちがミニドレスや床をひきずるくらいのマキシ丈ドレスやニッカーボッカ、コンビネゾンパンツなどで森の中をさまようように歩いていきます。クラシックなケープやポンチョやバスロープみたいなコートなども登場。首元は詰まってコンパクトでAラインのチュニックのようなヴィンテージライクな白いミニドレスからはヴィンテージ通のデザイナーセンスが冴える。アコーデオンのようなプリーツのポンチョ&ロングドレスの組み合わせには、大花プリントが。熟したようではかない色使いがアンティークな雰囲気。上半身には小さい十字架が細かくたくさん散りばめられ、下に行くに従って十字架が大きくなっているパネル柄のサテン地のポンチョやドレスはファンタジーな美しさでした。
■RITSUKO SHIRAHAMA
デザイナー 白浜利司子(しらはま・りつこ)氏
http://www.almond-eye.com
テーマは「LOVE PLANET」。地球温暖化、環境破壊に関してもメッセージが英語で記されたワンピやジャンパーなどのアイテムが登場。ナイロンやハイテク素材などを多く使い、エッグシルエットやコクーンシルエットのミニワンピはパフスリーブでさらにボリューム感がたっぷり。風船が膨らんだかのような超ボリュームなコートは裾を絞ってワンピ風に着ていたり、ミニのキュロットスカートも多く登場しました。グリーンやイエローなどカラフルな色を使用。ボヘミアンやヒッピー風を漂わせながら大人の女性向けに仕上げました。
■T・H・D La maison(テ・アシュ・デ ラ メゾン)/Takumi Hatakeyama
デザイナー 畠山巧(はたけやま・たくみ)氏
http://www.thd-la-maison.com
「T・H・D La maison」よりワンランクアップのグレードライン「Takumi Hatakeyama」が新ブランドとしてデビューしました。ショーは2部構成で、「T・H・D La maison」では、グラフィック調な薔薇が散りばめられたジョーゼットプリントや、ハート柄に葉っぱがミックスされたキュートなプリントなどのミニワンピやミニフレアスカートっぽいキュロットスカートなどが多く登場。クラシカルなボウタイにストレッチデニムを合わせるなどスポーツテイストをミックスしたものも見られました。
「Takumi Hatakeyama」では、ドレスを中心にジャガードや綿&麻ミックス、シルクコットンサテンなど素材にこだわり表現。薔薇の大きなモチーフがあしらわれたドレスはクチュールっぽい雰囲気も。パニエ付きのドレスや、ふんわりしたパフスリーブなどボリュームを愛らしく魅せたコレクションでした。
■HIROKO KOSHINO(ヒロコ・コシノ)
デザイナー コシノ ヒロコ氏
http://www.hirokokoshino.com
東コレのフィナーレを飾ったのは「HIROKO KOSHINO」。大御所らしく、来場者も蒼々たる人たち。テーマは「アドリア海を渡る躍動のリズム」。イタリア半島とバルカン半島の間にある海。異文化が交差する場所で咲くエスニック花のようなフォルムをリゾートカジュアルなミニドレスで表現。ドレープが出るように生地をたくし上げながらスモッキング加工してボリューム感をだしています。ギャザーやプリーツ加工で躍動感のあるミニドレスも。ジャージー素材を体に巻き付けるようなドレスはてろんとした質感がセクシー。水に濡れたようなぬめりのある質感のシルバー系のジャージーやサテンを使い艶やかさもプラス。ショーの後半はシックでモードな雰囲気に。上半身はフィット、下半身は立体的なフレアー感を出したインターシャのニットドレスやベージュ×ブラックの線描きされた花柄などのエレガント。
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