「Mame Kurogouchi(マメ クロゴウチ)」が2024年春夏ウィメンズ・パリ・ファッションウィークで2023年9月26日、2024年春夏コレクションを発表しました。プレコレクションをメインコレクションへ集約し、年に2回の発表へ変えてからは初めてのコレクションです。
黒河内真衣子デザイナーが佐賀県有田町を訪れ、大陸の陶工がもたらした技術からつながるものづくりが、時代を経て国内の陶工たちの手で独自の土壌を形成する様に魅せられたようです。17世紀前半の日本磁器のあけぼのの記憶を宿す初期伊万里の陶片を介した、過去と現代の陶工たちのものづくりをめぐる対話に耳を澄ませ、多様なスタイルへと落とし込みました。
さまざまなトーンや質感のホワイト、エクリュ、ミントグリーンのファブリックは、かつての陶工たちが恋焦がれた素地の色である「白」を生み出す試行錯誤の過程で生まれた初期伊万里の淡いトーンにインスパイアされました。情感豊かな涼やかさで表現され、今季のコレクションを彩るキーカラーとなっています。
初期伊万里のたたずまいは、シアーなラメジャージーのシリーズによるつやめきに変換され、まるで釉薬が流れるかのように素肌の上を覆います。ムラ染めのジャカードが印象的なショートブルゾンやロングジレ、手作業による絞り染めが施されたアシンメトリーなドレスは、釉薬の奥に朦朧(もうろう)と浮かび上がる景色すら想起させます。
初期伊万里に見られる特徴的な技術の一つである「陽刻」がもう一つの重要な要素となり、コレクションの姿を浮かび上がらせます。紋様入りの型を押し当て、柄を浮かび上がらせるこの技術にインスパイアされたいくつかのピースは、デザイナーが「やきものを洋服へと変換」する試みの結果、コレクションを代表するテクニックとして採用されました。
特殊なエンボス技術により、オリジナルの草花モチーフがデニムパンツやデニムジャケット、オーバーサイズシルクコットンドレスやシャツの上で浮かび上がり、静かに、のびのびと躍動します。絵付けで多用された草花のモチーフを思わせるジャカードがブランドのシグネチャースタイルであるドレスやアクティブなジャンプスーツで登場します。
デザイナーは自身が繰り返し訪ねた佐賀の景色を洋服で表現しています。日本の伝統文化や職人技、手仕事を訪ねるアプローチがさらに深化。趣の深い、エモーションの濃密なコレクションに仕上がっています。伝統的な日本美の魅力を、装いで取り入れたくなるコレクションです。