Photo Credit : GORUNWAY
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「Dries Van Noten(ドリス・ヴァン・ノッテン)」は2024年6月22日、2025年春夏メンズコレクションをパリで発表しました。創業デザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテン氏のラストコレクションとなります。
ベルギーの現代アーティスト、エディス・デキント(Edith Dekyndt)がインスピレーションになっています。日常的なものやミクストメディアを使い、透明なガラス瓶の中に時間の効果を表示するコンポジションを制作するアーティストです。
「始まりも、終わりもない」。38年間で150回目となるこのドリス・ヴァン・ノッテンのコレクションは、クラシックなものから革新的なものまで異なるアイディアを包含し、手仕事と色彩を表現し、リラックスしながらもエレガントな着こなしを提案してきました。
さらに先を行く、現代のエレガンスについて考察しました。たとえば、ダブルブレストもしくはシングルブレストのスーツやコートなどを、ソフトな構造の細長いシルエットに仕立てることに重点を置いています。透明なボリュームの中に浮かぶオーガンザのトップスとパンツ。ハイウエストのロングパンツやカーゴパンツのバリエーションは、ダークカラーのベルトでウエストを強調。アンダーからオーバーまで、目に見えるレイヤーがボディを際立たせます。
長く着続けられたように加工された素材や、ナチュラル・テクニカル・ハイブリッドを融合。リサイクル・カシミアの綿や、ガラスのような半透明のシワ加工を施したポリアミドなどで、マットとシアーの相互作用を生み出しました。レザーとジャージーに描かれたトロンプルイユのスネーク柄やシルバーとゴールドの間を液体のように流れる、片面に装飾された箔などインパクトのある表面を打ち出しています。
日本の伝統的なマーブリング技法である墨流しのようなムードも用いられました。コレクション全体を飾る墨流しのモチーフは、まるで夜空に咲く花火のように、大きくグラフィカルな葉と花を表現しました。気負わず飾り立てず、上質で丁寧な装いに誘う、自らの美学を静かに語りかけた、ドリス・ヴァン・ノッテンらしいラストコレクションです。