関西圏にしかない素敵な商業施設として知られているのが2館の「BAL(バル)」です。「京都BAL」は1970年に開業し、2015年にリニューアル。1994年に開業した「神戸BAL」は大規模改装を終えて、2024年10月25日(金)にリニューアルオープンしました。オープンに先立つ内見会に参加したので、見どころや魅力をリポートします。
神戸市を代表するお買い物エリア、神戸元町の顔的な存在として、30年にわたって親しまれてきました。商業・サービス系のフロアは6階まであり、今回は本館1階にあたるグランドフロアを「ビューティ&ライフスタイルフロア」に様変わりさせています。
グランドフロアに加わった3店舗は「Maison Margiela ‘REPLICA’ Fragrances(メゾン マルジェラ「レプリカ」フレグランス)」「Santa Maria Novella(サンタ・マリア・ノヴェッラ)」「LE LABO(ル ラボ)」です。既存の4店舗「BAUM(バウム)」「Jurlique(ジュリーク)」「NEAL’SYARD REMEDIES(ニールズヤード レメディーズ)」「THREE(スリー)」も移転改装し、ビューティ&ライフスタイルフロアとして再編成しました。
4~6階の「無印良品」は著名デザイナーの深澤直人氏がデザインディレクションして「無印良品」「Cafe&Meal MUJI」として新装開店しています。
館内全体を巡った印象はヨーロッパのデザインホテルに訪れたよう。随所に上品さやグッドセンスが感じられますが、気取りすぎることなく、心地よくリラックスして過ごせる空間です。
「ビューティー&ライフスタイルフロア」と位置付けられたグランドフロアに入ると、穏やかでリュクスな香りが迎えてくれます。開放感がある構造に加え、外の自然光があちこちから射し込んでいて、伸びやかでクリーンな雰囲気です。
「港町に佇むブティックホテルのような本館とANNEXで一つの街並みを表現した」という神戸BAL。上質なライフスタイルを提案するショップがそろいました。自分らしい暮らし方の選択肢を広げてもらえそうな商品・サービスが選び抜かれていて、心弾む発見と出会えそうです。
新たにグランドフロアへ登場した3店舗からご案内していきましょう。まずは伝説的なファッションブランドから生まれた「メゾン マルジェラ「レプリカ」フレグランス」です。「メゾン マルジェラ」は1988年にパリで設立され、際立った独創性で名高い創業デザイナーの引退後は2014年からジョン・ガリアーノ氏がクリエイティブ・ディレクターを務めています。
1994年にスタートしたのが、ヴィンテージの洋服やアクセサリーを再現した「レプリカ」カプセルコレクションです。「レプリカ」のコンセプトは時代を超えた普遍性にあります。このコンセプトに着想を得て2012年、「レプリカ」フレグランスが誕生しました。それぞれのシーンを再現した香りが人々の潜在意識に語りかけ、記憶やムードを呼び覚まします。神戸BALのショップでは店舗限定発売のオードパルファンを用意しています。
「サンタ・マリア・ノヴェッラ」は「世界最古の薬局」として有名です。800年以上も前の1221年に、ドミニコ会の修道士たちがイタリアのフィレンツェに開いたサンタ・マリア・ノヴェッラ修道院の菜園で植物を育て始めたのが始まりといわれます。今回は神戸エリアでは初の店舗となります。
香水や化粧品、キャンドルなどのホームフレグランスで高い評価を得てきました。修道院薬局の部屋から着想を得てデザインされた店内は、木目調の温かみが印象的で、ブランドの歴史を今に伝えると造りとなっています。ハンドソープやスキンケアアイテムを試せるシンク設備「フォンス」(「泉」を意味するラテン語)も世界で初めて導入されました。
スローパフューマリーのブランド「ル ラボ」はアメリカ・ニューヨークで2006年に誕生しました。友人関係の2人が何かユニークで特別なものを作りたいという思いからフレグランスラボを創設。時間をかけて丁寧にパフュームを作り出すスローパフューマリーの発想で知られます。香りの注文を受けてから、その場で調合する「フレッシュ ブレンディング」のサービスでも有名です。
神戸BALの店舗ではフレグランスやキャンドルのラベルに英数字23文字以内で好きなメッセージや名前をその場で入れてもらえる「パーソナライゼーション」のサービスが用意されています。ラボを併設していて、2025年以降には手作業で仕上げる「フレッシュ ブレンディング」をはじめとした、クラフツマンシップを重んじた製品の提供も始まる予定です。
続いて、同じグランドフロア内に移転改装した4店舗「バウム」「ジュリーク」「ニールズヤード レメディーズ」「スリー」をご紹介していきます。
「バウム」は「樹木との共生」をテーマに掲げるスキン&マインドブランドです。資生堂が2020年にスタートしました。「樹木がくれる、美しい世界のはじまり」をメッセージに、全化粧品の90%以上を自然由来の成分で構成。商品パッケージ、店頭においてもサステナブルな循環を意識しています。
神戸BALの新店舗では神戸の石造り建築群から着想を得て全体をデザイン。バウムが植樹活動を行う「BAUMひのきの森」の土を混ぜ込んだブリックを店舗の中央に置きました。彫刻家のオブジェやビジュアルも配し、樹木の温もりやブランドの循環思想を感じながら、ゆっくりと商品を選べる空間に仕上げています。
「ジュリーク」はオーストラリア発のオーガニックコスメブランドです。1985年以来、自社のオーガニック認証農園で大切に育てた植物やハーブを手摘みで収穫。商品に注ぎ込んできました。スキンケアからボディケアまで幅広い商品で、芳醇な香りを五感で楽しめます。
神戸BALのショップは、マルシェ(市場)をイメージ。ジュリーク商品を使い、オールハンドで行うトリートメントを受けられる個室も用意されました。フェイシャルトリートメントから全身トリートメントまで幅広いメニューから選べます。
英国発のオーガニックスキンケアブランド「ニールズヤー ド レメディーズ」はサステイナブルでエココンシャスな取り組みで知られています。1981年にロンドンで英国初のナチュラルアポセカリー(自然薬局)として創業。オーガニック植物の力を重んじたアプローチで支持を広げてきました。
フェアトレードや生産者支援、リサイクルなどにも熱心でソーシャルグッドなブランドとして有名です。心と体をトータルにケアする「ホリスティックビューティ」を早くから提案。ブランドの代名詞的なブルーボトルは紫外線をブロック。使用済みボトルは店舗で回収し、リサイクル、リユースに役立てています。
「スリー」は「心・からだ・肌」のすべてに、ホリスティックにアプローチするライフスタイルブランドです。スキンケア・ヘアケア・ボディケアには、精油をはじめとする天然の植物成分をふんだんに使用。メイクアップではモードとナチュラルが生みだすニューベーシックを表現。その人らしい美しさを最大限に引き出すホリスティックケアとメイクアップを提案していします。
神戸BALの店舗は関西初のコンセプトショップとしてリニューアルオープンしました。ホリスティックケアやメイクアップアイテムをはじめ、24種類のエッセンシャルオイルと、熊本県南阿蘇のTHREE ハーブガーデンで育てた国産植物を使ったオリジナルのブレンドティーを関西で初めてラインアップ。「香り」×「色」でブランドのイメージを実感できます。
以前からある「Swarovski(スワロフスキー)」はクリスタルブランドとしておなじみ。新クリエイティブ・ディレクターにジョバンナ・エンゲルバート氏を迎え、2021年にブランドを刷新。神戸BALの店舗ではジュエリー、ウォッチ、オブジェなどのクリスタル製品を幅広くそろえています。
続いて、上の4~6階を占める「無印良品」「Cafe&Meal MUJI」をご案内します。無印良品は生活の「基本」と「普遍」を示し続ける提案でおなじみです。神戸BALには1992年9月から出店。衣服シリーズ「MUJI Labo」も取り扱っています。今回の大規模改装では深澤氏がデザインと監修を務め、ふんだんに木質をあしらった什器を採用。ブリックを柱と壁に用いて、親しみやすさを高めました。
Cafe&Meal MUJIは無印良品のカフェ・レストランです。今回のリニューアルではホワイトを基調としたシンプルな空間へ改装。一段とリラックスして過ごしやすいたたずまいに。従来よりも座席数を増やし、電源付きのカウンター席も用意。これまでのデリスタイルでの提供から、出来立てのパンケーキや麺類などをそろえた、ランチや軽食の提供スタイルに変更しました。ショーケースには約10種類のアイスクリームをそろえています。
今回は変更のなかった2階には「Molton Brown(モルトンブラウン)」「Aesop(イソップ)」「」「JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)」「MARIAGE FRERES(マリアージュ フレール)」が集まっています。
「モルトンブラウン」は1971年にロンドンで誕生したフレグランスメイカーです。ブリティッシュスタイルと「メイド・イン・イングランド」にこだわり、英国王室御用達指定を受けました。神戸BAL店は自然素材を使った調度品に植物のグリーンがさりげない彩りを添える、落ち着いた雰囲気です。
「イソップ」は1987年にオーストラリアで創業しました。スキンケア、ヘアケア、ボディケア製品のほか、フレグランスやパーソナルケア、ホーム製品と幅広い商品を提供しています。極めて認証のハードルが高い「B Corp」の認証企業。すべての製品や成分で動物実験を行っていません。認証を取得したビーガン(動物由来成分不使用)です。
「ジョンスメドレー」は英国で1784年に創業した老舗のニットウェアブランドです。シーアイランドコットンやメリノウールなどの最高級天然素材を用い、職人技で紡がれるニットは目の肥えたおしゃれ好きから高い評価を得ています。英国王室御用達の称号「ロイヤルワラント」も品質とクラフトマンシップを証明。創業当時から続く工場は世界遺産にも登録されています。
神戸店にはポップアップスペースを併設。今回は石川県の食器メーカー「NIKKO」のコレクションが期間限定で登場しました。
2階では唯一のフード&ドリンク系がフランス流紅茶芸術の世界を紹介する「マリアージュ フレール」。様々なお茶のはかり売りをはじめ、お茶の贈り物をそろえています。サロン ド テは46席。「TEA CLUB」も受講できます。
3階に入っているのは、「athletia(アスレティア)」「TODAY’S SPECIAL(トゥデイズスペシャル)」「Madu(マディ)」。スキンケア&ライフスタイルブランド「アスレティア」はアクティブに生きるすべての人へ、しなやかでバランスの取れたライフスタイルをサポートする商品をラインアップしています。
ライフスタイルブランドの「トゥデイズスペシャル」はマーケットのようなにぎやかな「食と暮らしの商店」です。今日を特別にする「食とくらしのDIY」をテーマに、生活道具やうつわ、食材、衣料品、本や植物などを扱っています。「マディ」は食器を中心としたハウスウェアのショップです。「和と洋の調和のとれた心地よいスタイル」を提案しています。
地下1階(B1)の「Waft.VINTAGE(ワフト ヴィンテージ))」はヴィンテージアイテムに特化し、売り場面積をさらに広げました。B1には「STARBUCKS COFFEE」も入っていて、一休みにぴったり。B2には「ABC Cooking Studio」があります。
別館にあたる「Annex(アネックス)」には「EDITION(エディション)」「POLO RALPH LAUREN(ポロ ラルフ ローレン)」「Ron Herman(ロンハーマン)」「Topologie(トポロジー)」「Waft.(ワフト)」(こちらはヴィンテージではなく、オリジナルとセレクト)の店舗が集まっています。
「エディション」はミニマリズム、コントラスト、インテリジェンスをコンセプトに据えたセレクトショップ。アメリカの実験的住宅プログラム「ケーススタディハウス」をイメージしたモダンな内装です。「ポロ ラルフ ローレン」はアイビーリーグのアメリカンカジュアルと上品な英国流スタイルを融合させたライフスタイルを提案。不動の人気ブランドです。スペシャリティストアの「ロンハーマン」は関西エリア1号店。ゆったりとしたメゾネット(2層式)で、吹き抜けが広がります。上階部分には約50席のカフェを併設。一角には食器やリネンなどのリビングアイテムが並んでいます。
「トポロジー」はクライマーが抱く冒険への情熱をインスピレーションにしています。クライミングギアの機能美を取り込んだプロダクトをそろえました。「ワフト」は先にご紹介したヴィンテージ店とは別に構えた店舗です。ベーシックからハイエンドまで、時代のトレンドに沿ったアイテムを取りそろえています。
フランス・パリ発の総合美容専門店「OFFICINE UNIVERSELLE BULY(オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー)」は1803年の創立以来、フランス流のエレガンスで知られてきました。日本初となるカフェも併設しています。
ヨーロピアンなたたずまいも神戸ならではと感じさせる「神戸BAL」。関西圏以外には存在しないだけに、関西を訪れたら京都BALと共に足を運びたくなります。選び抜かれたショップやサービスがギュッと凝縮されているから、自分だけのお気に入りに出会えそう。今まで気づかなかった「自分らしさ」を発見できる、特別な体験が待っています。
BAL Kobe & Annex
神戸市中央区三宮町3-6-1
Tel_ 078-391-0501
Open_ 11:00~20:00
神戸BAL
https://bal-bldg.com/kobe/
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