「Mame Kurogouchi(マメ クロゴウチ)」はパリ・ファッションウィークで2025年春夏コレクションを発表しました。
「かたち」という最もシンプルな物質的要素へと黒河内真衣子デザイナーは目を向け、異なる文化や時代に出自を持つオブジェや自然の産物を収集。直感と観察によってそれぞれの共通項をつなぎ合わせながら、日常にあふれる事物の多様なフォルムにインスピレーションを受けたコレクションを展開しました。
京都で目にした伝統的な提灯の「かたち」を支える骨組みの構造は、プリーツのような放射を引き返し編みで表現したグラフィカルなニットのパターンで表現されました。袖のボリュームが印象的なニットドレスやカーディガン、極細のプリーツが施されたロングドレス、複雑なカッティングのシャツが提灯の豊満なシェイプを想起させます。
涼しさを呼び込むために岐阜提灯に描かれた秋草や、琉球の螺鈿細工には、日本の風景に潜むさまざまな「かたち」が見出されます。デザイナーの記憶の中で、現実の景色と想像の風景は混交しながら独自の花鳥風月柄となり、装いへと織り込まれます。
氷塊を思わせるガラスのジュエリーや、なめらかな曲線がアシンメトリーなシルエットを作り出すENTWURFEINとのコラボレーションハットでも、日常の有機的な「かたち」を映し出しました。
日本の風景や文化に根ざしたデザインとデザイナーの思いが調和。日常生活に溶け込む多様な「かたち」は気負わない着こなしにもつながっていきそうです。