20世紀を代表する彫刻家、Alberto Giacometti(アルベルト・ジャコメッティ)の大回顧展「ジャコメッティ展」が国立新美術館で開催されています。行ってきました。今回は、平日の午前中に行ったので、比較的空いている環境でゆっくり見ることができました。縦方向に細長く引き伸ばされた人物の造形で知られるジャコメッティは、見た瞬間にジャコメッティ作品と分かるような唯一無二の存在です。
日本で開催されるジャコメッティ展としては11年ぶりの個展です。初期から晩年まで、彫刻約50点、絵画約5点、素描と版画約80点が出品される大回顧展となっています。細長い人物像は、正面から見たときと横から見たときに雰囲気が全然異なってみえます。わずか数センチの小さな人物像や、珍しい猫や犬の像も展示されています。無駄をそいだフォルムはどの角度から見ても飽きない、深みを備えています。
ジャコメッティのモデルになると、ずっと体を動かずにいなければならないのだそうです。日本人哲学者である矢内原伊作(1918~89年)も有名なモデルの1人。矢内原が語った、ジャコメッティとのやりとりも紹介されていました。矢内原がちょっと動いただけでも、ジャコメッティは「あっ!」と大事件が起きたかのような大声をあげたとか。そのシーンが目に浮かび、失礼ながらくすっとしてしまいました。ポーズを取らせる時間も長かったそうで、矢内原はあるときなど、70時間も同じポーズを強いられたそうです。長い時間、モデルを務めたのは大変だったでしょうが、今となっては名誉なことだと言えるでしょう。
選りすぐりの作品が一堂に会した、貴重な機会でした。
国立新美術館開館10周年 ジャコメッティ展
http://www.nact.jp/exhibition_special/2017/giacometti2017/