1968年の創業で、50周年を迎えた「ETRO(エトロ)」は「ジェネレーション・ペイズリー展」をミラノ市(イタリア)の文化博物館「MUDEC(Museo delle Culture)」で開催しています。ブランドのアイコン的なモチーフであるペイズリー柄にオマージュを捧げた展覧会です。ミラノ・ファッションウイークの期間中に開幕。初日の前日(9月22日)に開催された関係者向けのプレビューイベントで拝見しました(2018年10月14日までの開催)。
意外なことに、今回はエトロにとって初めての本格的な展覧会です。50年の節目にふさわしく、歴代アーカイブの中から50点の代表的ルックが選ばれました。展覧会場内もアイコニックなペイズリー柄に彩られ、エトロとペイズリー柄との深い間柄を印象づけています。
ペイズリー柄をあしらったたくさんのピースをあらためて眺めると、早い時期にこのモチーフに着目したエトロの先見性に驚かされます。植物特有のネイチャー感や、アジア文化の薫り、マルチカラーの彩りなど、現代モードが重視している様々な要素を、エトロが育んできたペイズリー柄はすべて兼ね備えています。
半世紀をかけてエトロが熟成させてきたペイズリー表現は「驚異の部屋」という、本展の演出テーマのひとつにもあるように、驚くべきバリエーションで、来場者にエトロの情熱とエモーションを語りかけてきます。エトロのクリエーションを裏打ちしているクラフツマンシップやミラノ流美学も感じられます。
ブランド名を写し込んだモノグラムやブランドロゴをアイコンにするブランドは珍しくありませんが、特定の図柄を様々にアレンジしながら、キーモチーフに据え続けている例はまれです。柄が決まっているからこそ、表情を深くする知恵と工夫が注ぎ込まれていることが展示から感じ取れました。
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