「デイヴィッド・ホックニー展」がスタート!希望、楽観、自然のハーモニー

「デイヴィッド・ホックニー展」がスタート!

 

「デイヴィッド・ホックニー展」がスタート!

現代美術の巨匠、デイヴィッド・ホックニー(David Hockney)氏の作品を集めた大型美術展「デイヴィッド・ホックニー展」が2023年7月15日、東京都江東区の東京都現代美術館で開幕しました(11月5日まで)。2023年最大級のアートイベントです。14日の内覧会に参加しました。

英国生まれのホックニーは7月に86歳を迎えたばかりとは思えないほど、旺盛な創作意欲を保ち続け、現在も作品発表を続けています。ポップアートの時代から第一線で活躍し続ける、「生きる伝説」的な存在。国内での大規模な個展はほぼ27年ぶりとなります。

圧倒されるような「アートパワー」を全身に浴びました。風景画が多かったこともあって、自然な色使いがやさしげでありつつ、作品から希望をもらえる感じ。特大サイズの画面に引き込まれました。いつまでもずっと眺めていたくなる、景色に包まれるような体験。東京都現代美術館ならではの空間のゆったり具合も、大画面作品にぴったりでした。

写真撮影は人物が入ることで可能となっておりますので、私が映った写真がたくさん並びます点をご了承くださいませ。

風景を感じながら、心を穏やかに整えてもらえる、希望や楽観を感じ取れる展覧会です。新作を含め、120点余りの作品がそろうのは、極めて貴重な機会。新型コロナウイルス禍下のロックダウン中にiPadで描かれた、全長90メートルに及ぶ新作は見逃せません。

 

「デイヴィッド・ホックニー展」がスタート!

 

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ホックニー氏は60年以上にわたるキャリアを持ち、作風も多彩です。今回の展覧会では、多くの代表作に加え、近年の風景画『春の到来』シリーズを披露。こちらは日本初公開です。ホックニーの世界を様々な角度から実感できます。ポップアートが盛り上がった時代の有力なアーティストとして有名ですが、今回は伸びやかな彩りの風景画が集められていて、近年の画風や創作の深まりを印象付けます。

キャリアを重ねて、人気が高まり続けるアーティストとしても有名です。2010年代にヨーロッパで相次いで開催された展開会は60万人以上の来場者を記録。オークションでも高額の落札が続いていて、世界で最も人気の高いアーティストの1人と位置付けられています。しかも86歳で現役。iPadに象徴される新たなデバイスや技法、テクノロジーを取り入れ続けている点でも特別な存在です。

「新しい表現手段が好きなのは、同じ題材であっても、違う絵が描けるからだ」とホックニー氏は述べています。このように気負いやてらいを感じさせない、創作との向き合い方もホックニー流といえるでしょう。2010年にiPadを手に入れたホックニー氏は毎朝、寝室の窓に差し込む陽光や窓辺に置かれたガラスの器をiPadで描くようになりました。画家の視覚体験が日記のように記録されていて、作品を見て回りながら、本人に寄り添うかのような感覚も味わえます。

美術の教科書に収められているような代表作クラスの作品が集められました。たとえば、『クラーク夫妻とバーシー』(1970-71年)。60年以降に始めた、夫婦や友人の2人を描いた「ダブルポートレート」の作品です。ファッションデザイナーのオジー・クラーク夫妻が並んだ構図。ホックニー氏はオジーの頭部だけで12回も描き直したそうです。

 

 

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今回の展覧会ならではの強い印象を与えるのは、風景画の大作や連作です。天井近くまで届く、巨大な風景画は、見る者を包み込むかのよう。自然への畏敬を体感できる構成です。複数の絵画を横につなげた連作シリーズは、時系列の流れをイメージさせます。風景画の傑作といわれる、クロード・モネの『睡蓮』にも通じる、ダイナミックな見せ方。時の流れと人生のうつろいが響き合うかのようです。自由に歩き回り、行きつ戻りつしながら、アートに「伴走」する鑑賞体験も新鮮な提案です。

ポジティブな色使いや、穏やかな構図などが醸し出す、ヒューマンでやさしげなムードはコロナ禍の災いをどうにか乗り越えつつある今への希望を示すよう。衰えを知らない巨匠のモチベーションに、あらためてリスペクトの思いを抱く展覧会。ぜひ足を運んで体感することをおすすめします。

 

「デイヴィッド・ホックニー展」
会期:7月15日(土)~11月5日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F、3F(東京都江東区三好4-1-1)
問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/hockney/

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