以前から日本でおしゃれのロールモデル的に位置付けられる人たちがパリジェンヌです。ぼんやりと「着こなし上手」のようなイメージで語られがちですが、パリに長く暮らしてきた著者のまなざしはもっとリアル。実像を踏まえて、ファッションにとどまらない、しなやかな人生哲学や暮らしぶりを伝えています。
「服を10着しか持たない」といった具合に、シンプルで飾らないファッションを好むといわれるパリジェンヌ。しかし、極端な部分にフォーカスされすぎるせいもあってか、実際のキャラクターが日本ではしっかり伝わっていないところがありました。ルイ・ヴィトンのパリ本社に17年間も勤め、PRのトップを務めた著者・藤原淳氏は「最もパリジェンヌな日本人」と呼ばれるほど、パリになじんだ人物。本書『パリジェンヌはすっぴんがお好き』では等身大のパリジェンヌが描かれています。
「取っつきにくいのになんだか憎めない、ボサボサ髪なのに妙にかっこいい」――。本物のパリジェンヌとは、こういう感じだそうです。タイトルに選ばれた「すっぴん」も、ありのままの自分を大事にするパリジェンヌらしさを物語っています。
ただ、本書で取り上げている「パリジェンヌ」は必ずしも「パリに生まれ育った女性」とイコールではありません。地域に根差したものというよりは、本人の生き方ポリシーや美意識、生活信条のような要素が大きいようです。
見方を変えれば、日本人が日本でパリジェンヌ的に振る舞うことも可能だと言えるでしょう。本書ではパリジェンヌ流の思考や感性がたくさんの実例を交えて解説されているので、パリジェンヌ・ライクなセルフプロデュースに役立ちそう。そっくり真似する必要はなく、自分が気に入ったところだけを見習う「つまみ食い」的な取り入れ方にも背中を押してもらえます。
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