2017年春夏NYファッションウイークが終了し、無事帰国しました。今回のNYコレクションは、見てすぐに買える「see-now-buy-now」形式を採用するブランドが増えて、春夏と秋冬が混在するという異例の状態に。ショーの規模縮小や人数カットも増えて、「ファッションショー」のあり方を手探りするような「迷い」が感じられました。その一方でショーをパーティー風に盛り上げたり、路上や水辺など屋外に飛び出したりと、従来の閉じた演出を打ち破る試みも相次ぎました。
トレンドの全体像はパリまで見ないとつかみかねますが、NYコレクションを手がかりにする限りでは、16-17年秋冬に盛り上がった「濃いめ」のムードはやや落ち着いて、着心地やリラックス感などを重視した自然体志向の提案が目立ちました。最も打ち出されていたモチーフの花柄はロマンティックとエフォートレスが融け合う流れを示すシンボルとなっています。ラッフルやノット(結び目)、リボンなども花びらのよう。ヘルシーセクシーなランジェリーテイストも目に留まりました。アイテムではやわらかい着映えのワンピース(イージードレス)がやさしい雰囲気を映し出しています。
気分を表すキーワードは「flirty(フラーティー)」、「flirt(フラート)」。日本語にはないニュアンスで、「恋をもてあそぶ、ふざける、いちゃつく」といった意味合いです。この言葉に象徴されるような、少しガーリーで華やいだ装いが目につきました。ノージェンダーやシーズンレス、シーンフリーはもはやトレンドというより基本軸の位置づけを得て、NYらしさのベースとなっています。以下に17年春夏NYコレクションのトレンドキーワードを挙げました。
◆テイスト、ムード、スタイリング
ランジェリー、ストリートカルチャー、ノスタルジー、コンフォート、リラックス、ステートメント、南カリフォルニア、アメリカン・スポーツウエア、ゴシック、ヴィクトリアン、モッズ、スポンテニアス、ボヘミアン(ボーホー、バガボンド)、プレイフル、グランピング、ロマンティック、スポーティーイーズ、親しみ、グランジ、カウンターカルチャー、サーフィン(サーファーリュクス、ビーチ)、ヴィンテージ、トムボーイ、ノマド(トラベルフレンドリー)、カラーブロッキング、サマーレイヤード、ガーリー、シーズンレス(クロスシーズン)、ユーティリティー、ワークウエア、ジェンダーレス、プレッピー、エキゾチック、ミリタリー
◆シルエット
スラウチ、スーティング(スーツ風)、スーパーサイズ(オーバーサイズ)、ブルゾン袖、ダブルブレスト、Aライン、フリュイド(流れ落ちる)、オフショルダー(オープンショルダー、ベアショルダー、コールドショルダー)、ベルスリーブ、エアリー、ロング&ルーズ、背中見せ(バックアクション)、ロングカフス、バギー、ミドリフ(ショート丈トップス、ウエスト見せ)、アシンメトリー、ハイウエスト
◆アイテム
ブラトップ(ブラレット、クロップトトップス)、シャツ、シャツドレス、マキシ丈ワンピース、サマーアウター、ボマージャケット、ブルゾン、ジョギングパンツ、フーディー、ガウン、ロングワンピース、スーツ(ソフト仕立て、スポーティー生地)、チュニック、カフタン、ニットワンピース、ジャンプスーツ、スリップドレス、バイカー(モーターサイクル、ライダース)ジャケット、カーゴパンツ、パーカ、パジャマ(ナイトウエア)、パンツ・セットアップ、コルセット、バスローブ、ペーパーバッグ・パンツ、ホットパンツ、セーラーパンツ、バスケットボールショーツ、バーシティー(大学生風)ジャケット、トラックパンツ、厚底(ブラットフォーム)靴、ビッグイヤリング、大ぶりサングラス、ウエストバッグ
◆ディテール
刺繍、ラッフル、フリル、パッチワーク、ビーズ、アップリケ、ノット(結び目)、フリンジ、ライニング、ストリングス垂らし・交差、スタッズ、カットアウト(スラッシュ、ピーカブー)、プリーツ、リボン、スリット、たすき掛け、ベルト垂らし、カーゴポケット、深めVネック、背中ストラップ、手仕事(ハンドクラフト)感・DIY、タッセル、レザーパッチ
◆マテリアル
デニム、サテン、シアー(透ける)生地、シフォン、スウェット、クレープ、メッシュ、オーガニック素材、レース、メタリック、スネークスキン
◆カラー
イエロー、ネオンカラー、オレンジ、グリーン、レインボー、メタリック、グレー、バーガンディー、ピンク(ピーチ、ダスティーローズ)、オリーブ、ブルー、マルチカラー、レッド、白、ネイビー、カーキ、原色、グリッター
◆プリント
フローラル(花柄)、葉っぱ・植物(ボタニカル)柄、チェック柄(大ぶり格子柄、ギンガムチェック)、ストライプ、タイダイ、オリエンタルモチーフ、エスニック模様
◆話題
ダイバーシティー(多様性)の尊重(プラスサイズへの目配り、アマチュアモデルの起用)、大胆な背中シアター、ハンドメイドの重視、see-now-buy-nowの広がり、ショー・プレゼンテーション(展示会)形式の拡張、男女混合の方式、政治的な主張(ステートメント)、フェスティバル風ショー(パーティー化、オープン化)、インスタジェニック、エココンシャス(サステナビリティー)、スナップチャットの台頭
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