「ユニクロ(UNIQLO)」の2017年春夏シーズン向けの「LifeWear」商品が発表されました。今回は「UNIQLO LifeWear Day」と題して、「Day」という言葉通り、1日の様々なシーンをリアルに表現した演出で新コレクションを披露しました。
世界のファッションショーが様変わりしつつあります。ランウェイの上をモデルが足早に行き交うという、従来のスタイルは徐々に減っていて、もっと着るシチュエーションをイメージしやすい舞台構成を選ぶ傾向が強くなっています。今回の「Day」も仕事場から寝室まで幅広く場面を設定して、実際のライフシーンでの着こなしを分かりやすく示していました。
いわゆる「ファッションショー」の発表形式には大きく分けてプレゼンテーション(展示会)とランウェイショーの2種類がありますが、近頃はそれぞれの長所をミックスした、「いいとこ取り」のハイブリッド形式が広がりつつあります。今回の会場で開催されたプレゼンテーションでは「ユニクロ」の新作をまとったモデルがカップルで公園を歩いたり、家族が居間で語らったりして、さらに説得力を増していました。それぞれの場面にハートウォーミングなストーリーが感じられ、それ自体が「人はなぜ服を着るのか?」という問いかけの答えになっているようでした。
会場に入ると、まず目に入ったのは、デニムのコーナー。デニムの研究と開発に取り組む「デニムイノベーションセンター」を米国ロサンゼルスに新設して、デニムの新商品に力を入れていくこともあって、春夏でも強力に打ち出していくようです。展示スペースにはたくさんの種類のデニムが集められていて、風合いや色落ち具合も様々。製品だけではなく、生地もディスプレイして、クオリティーの高さを印象づけていました。新しいラボからはこの先も新タイプのデニムが次々と誕生しそうです。
「UNIQLO SPORT」で提案されているのは、本格的なスポーツシーンで頼もしい機能性を備えていながら、普段使いにも向くユーティリティーなウエア。広い意味でのスポーツが生活の一部となりつつある今、つきあいやすいアイテムと映ります。鮮やかなピンクやレッド、イエローなどのアイテムが目をひき、差し色としても使えそうです。
もはや生活必需品となってきた感のある「AIRism」はさらに進化。ウィメンズとキッズに消臭機能が加わるそうです。ウォルト・ディズニー・カンパニーと協力している「MAGIC FOR ALL」では、ミッキーマウスの懐かしげな姿がプリントされました。アメリカ西海岸の気分を漂わせるデザインは来季の世界的なトレンドにもなっています。NIGO氏がクリエイティブディレクターを務めるTシャツラインの「UT」はポップカルチャーの世界をさらに掘り起こしています。そして、10周年を迎える17年春夏は美しい花柄ストールで知られる「EPICE DESIGN」も加わりました。ニューヨーク近代美術館(MoMA)とのコラボレーションである「SPRZ NY」はTシャツに加え、バッグや傘などの雑貨類に広がっていきます。身に着けるアートの選択肢が一段と広がります。
パリを代表するファッションアイコン、イネス・ド・ラ・フレサンジュ氏とのコラボ「INES DE LA FRESSANGE」はフランスの港町マルセイユに着想を得ました。彼女の愛する藍色を生かしたコレクションを提案します。クリストフ・ルメール氏が率いるデザインチームが紡ぎ出す「Uniqlo U」は上質なベーシックという、「ユニクロ」らしいテイストを醸し出していました。こちらはパリからの発信となります。
イスラム文化を取り入れたコレクションの「HANA TAJIMA FOR UNIQLO」。縦落ち感のきれいなウエアが多く、勢いの続く「ロング&リーン」の着こなしになじませやすそうに見えました。エスニックなたたずまいは気張らないエフォートレスの気分も呼び込んでくれます。
各商品ブースの並ぶスペースの隣に用意された会場でプレゼンテーションが開催されました。壁一面を使ってショートムービーのような動画が映し出されていました。来場者がシートに座って、まるでミニシアターで短編映画を見るような感じで、メッセージや風景を眺めているうちにモデルが登場し、ショーが始まりました。興味深かったのは、モデルのダイバーシティー(多様性)。日本人以外も数多く選ばれていて、グローバルな顔ぶれ。年齢層もおばあちゃんから子どもまでまんべんなくカバーされています。彼らが身を置くシーンを通して、日常のおしゃれを楽しむ感覚が自然と伝わってきました。
一般的なショーや展示会では、背景がシンプルなせいで、なかなか実際の着用イメージが浮かびにくいところがあります。ユニクロの今回の演出は屋外でのジョギングや通勤、家族との休日、友人とのホームパーティーやカップルでのおしゃべりなど、たくさんの身近で具体的な場面が設定されていたおかげで、着こなしがスッと頭に入ってくる雰囲気がありました。「ユニクロ」はベーシックさを大切にしているブランドですが、いくつものスタイリングにはベーシックなアイテムの組み合わせから生まれる「個性」が備わっていて、コーディネート提案としてもこなれて見えました。普段から丁寧に暮らすようなライフスタイル。どんなシーンでも自分らしさを大切にするような意識が染みわたっていたのも、心地よく感じられました。
瀬戸内オリーブ基金
http://www.uniqlo.com/jp/csr/environment/olive/
UNIQLO
http://www.uniqlo.com/jp/
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http://www.apalog.com/riemiyata/archive/220
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