「ZARA(ザラ)」は「ZARA 六本木ヒルズ店」を2018年8月30日、東京・六本木ヒルズ内で移転増床オープンしました。一般的な店舗オープンのニュースと見えてしまいそうですが、実はこの店舗はZARAの新戦略を象徴する存在でもあります。新店舗が映すZARAの「今と未来」を読み解いてみたいと思います。
第一に、品ぞろえの面で目を引くのは、レディス、メンズに加えて、ベビーに力を入れている点です。アジアでは初めて新生児用のコレクションである「ZARA Mini」を取り扱っています。ベビー対応はファミリー購買を取り込むうえで意味が大きく、インバウンド客の呼び込みも期待されます。
第二のポイントとしては、オンラインと実店舗の融合が挙げられます。改装工事中に期間限定でオープンしていた「ROPPONGI POP-UP SHOP ONLINE」では、 公式アプリを通じて、オンラインと実店舗をクロスオーバーさせた新ショッピング体験を提供してきました。このストアモデルを受け継ぎ、新旗艦店でも引き続き、オンラインショッピングと受け取りのサービスを提供しています。ショールーム的な機能を求めながらも、試着や質感・色チェックはしっかりしたいという欲張りな今のニーズも受け止めています。
第三の特長、そしておそらく最大の注目点は地球環境やサステイナビリティー(持続可能性)への目配りです。新店舗は従来の店舗と比較して30%の省エネを実現しながら、冷房効果を高めるエアカーテンを備え、40%の節水も実現しています。材料の再利用を進め、リユース、リサイクルを徹底した設計です。
多くの企業・ブランドが環境負荷を軽くする取り組みを進めていますが、新店舗は内外装のあちこちに加え、商品構成にもサステイナビリティーへの配慮を盛り込んでいます。ショッピング体験自体にエコ感を強めているのです。
8月15日~29日まで開催された「ZARA JOIN LIFE EXHIBITION AT ROPPONGI POP-UP」
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様々な正義の表現があり得ますが、「地球環境」は最も広く共感を得やすいテーマと言えるでしょう。原材料や生産プロセスなどの面でアパレル企業にとって関係が深いところでもあります。六本木で開いていた期間限定店では、環境に配慮したアイテムを、「ジョイン ライフ(JOIN LIFE)・エキシビジョン」として展示していました(8/15~29まで)。
オーガニックコットンや再生繊維の使用、生産・店舗での資源消費カットなど、多面的な取り組みを総合的に紹介したのは、「地球とジョインするブランド」というイメージを示すうえで効果的です。さらに、顧客の健康的でエシカルな生活にもジョインすることによって、長く続く、信頼に基づく関係(=エンゲージメント)を築く期待が持てます。
ZARAの店頭では既に当たり前のようにエコ商品が並んでいます。もはやエコ商品は特別なキャンペーン対象ではなく、「通常扱い」の存在となってきました。「ジョイン ライフ」という世界観を写し込んだ新店舗は、サステイナビリティを重視するZARAの進んでいく方角を知るうえで、またとない手がかりになっています。
ZARA 六本木ヒルズ店
http://www.roppongihills.com/shops_restaurants/shops/00033.html