「Van Cleef & Arpels(ヴァン クリーフ&アーペル)」が支援する「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」。ジュエリーの世界の扉を一般の方へ開いた初めての学校です。そしてこの日本特別講座開校が京都造形芸術大学の外苑キャンパスで開講され、受講してきました。
私が受講したのは、ジュエリーの芸術史「アールヌーヴォーのジュエリー」。技巧を凝らした装飾芸術が発展し、ジュエリーアートと認識された魅力的な時代が「アールヌーヴォー」。ジュエリーも装飾品を超えて芸術作品へと進化した時代です。
「ベル・エポック」と呼ばれるこの時期に起こった劇的なスタイルの変化を学びました。アーツ&クラフツ運動から始まり、ハンドメイドでつくる美のための美。そして光と影を現す象徴主義、蝶や花が踊るモダンダンスや緻密に表現する自然主義、日本の浮世絵や葛飾北斎の波や鶴などがヨーロッパで広がりました。クロード・モネの作品では日本の橋が使われたりと、ジャポニズムからの影響がうかがえます。
野に咲く花や雑草、スズメバチ、蛇、カニなどの異形の動物をモチーフにしたり、曲線、アシンメトリーなどのライン、ガラスやエナメルなどの異素材に挑戦したりなど、先見性に富んでいます。
革新的ゆえに、アールヌーヴォーを批判する人もいました。しかし、おしゃれの常識をあえて踏み越えるリスクテイカー(挑戦者)からは支持されていたのがわかります。そして、第一次世界大戦以降、女性の日常生活からコルセットが消え、ショートヘアのフラッパースタイルへ。建築も有機的で曲線的なデザインを主体としていたアールヌーヴォーから幾何学的で直線的なアールデコへ変わっていきます。
現代では、またアールヌーヴォー的な要素が見直されているような気がします。自然界のモチーフや柔らかいパステルカラーと鮮やかなカラーとのミックスなど、今のファッショントレンドに通じています。
みっちり4時間のコースを受け、大変勉強になりました。講義の後は修了証をいただきました。講師の美術史家であるポール・パラディさんとジスラン・オークルマンヌさんと。充実した時間でした。貴重な機会をありがとうございました。
講義の後は、ジュエリーの3つのエキシビジョンが開催されており、拝見しました。(こちらは3月8日まで開催中。入場無料でどなたでも入れます。ご興味のある方はぜひ行かれてみてください。)
・「Through the eyes of a connoisseur~ある愛好家の目線」展
・ハルミ・クロソフスカ・ド・ローラ~《自然の痕跡》展
・「タヴェルニエのダイヤモンドを巡る冒険~ムガル帝国から太陽王へ~」展
詳細はこちら・
https://jp.lecolevancleefarpels.com/ja/exhibitions-jewelry-tokyo
レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校
https://jp.lecolevancleefarpels.com/ja