川北縫製のカットソー新ブランド「SANUA(サヌア)」誕生 クリエイティブディレクター・廣川玉枝氏と社長へインタビュー

川北縫製のカットソー新ブランド「SANUA(サヌア)」誕生 クリエイティブディレクター・廣川玉枝氏と社長へインタビュー

川北縫製のカットソー新ブランド「SANUA(サヌア)」誕生 クリエイティブディレクター・廣川玉枝氏と社長へインタビュー

川北縫製のカットソー新ブランド「SANUA(サヌア)」誕生 クリエイティブディレクター・廣川玉枝氏と社長へインタビュー

カットソーに強みを持つ川北縫製(香川県さぬき市)が立ち上げた新ウィメンズブランド「SANUA(サヌア)」のクリエイティブディレクターに「SOMARTA(ソマルタ)」ブランドで知られる廣川玉枝デザイナーが迎えられました。

2021年春夏がデビューシーズンとなり、2020年12月6日に東京・南青山に直営店をオープンしました。今回は「fashion bible」の独占インタビューを交えて、「サヌア」の魅力をご紹介します。

川北縫製はメンズ主体のブランド「CURLY&Co.」で有名です。今回はウィメンズへの本格的な進出にあたり、廣川氏を起用。「ソマルタ」はニットを生かしたデザインで高く評価されています。

瀬戸内の色を写し取ったかのようなブルーが印象的なファーストコレクションが発表されました。カットソー素材ならではの伸びやかでしなやかなシルエットは着心地も申し分がありません。ボタニカル・ダイを採用。瀬戸内海で採れる塩で布を清め、自然の力を帯びた色彩を表現しています。天然素材を生かし、サスティナビリティーにも配慮。シーンフリーで着やすい上品リラクシングなウエアがそろいます。

 

川北縫製のカットソー新ブランド「SANUA(サヌア)」誕生 クリエイティブディレクター・廣川玉枝氏と社長へインタビュー

川北縫製のカットソー新ブランド「SANUA(サヌア)」誕生 クリエイティブディレクター・廣川玉枝氏と社長へインタビュー

◆川北縫製 川北繁伸社長へインタビュー

Q: カットソーブランド「CURLY&Co.」が11年目を迎え、人気ブランドへと成長しました。ウィメンズの「SANUA」はどのようなコンセプトでしょうか? 「CURLY&Co.」との違いもお教えください。

CURLY&Coのコンセプトは”シーンレス”、SANUAは”ギフト オブ ジ アース”なので異なります。川北縫製がそれぞれのブランドに託す「想い」は、CURLY&Co.が”カットソー=Tシャツの概念を覆す”で、SANUAは”カットソーの価値観を変える”になります。

CURLY&Co.では「これもカットソーなのですか!」という驚きを与えましたが、SANUAでは「カットソー=安い」というイメージを変えたい。そのためのデザイン性、縫製仕様、そしてカットソー素材の持つ風合いを融合し、新しい価値を提供したいと考えています。

Q: withコロナ生活となり、洋服への考え方も変わってきています。部屋着としてだけでなく、リモートワークやご近所ウエアとしも求められています。今後の利用シーンはどのように広がりを見せるとお考えですか?

SANUAはもちろんワンマイルウェアとしての使い方もできますが、日々頑張っている女性に対して休日を過ごすときに着てもらいたい服です。時には癒やす服だったり、気分を上げる、気持ちを高揚させる服であったり、着る人を元気にする服であってほしいと思っています。そして、そうなるようにものづくりに取り組みたいと思います。

Q: 「パターン作成、縫製仕様の選定までも一つ屋根の下で行っている」そうですが、DtoCが盛り上がりを見せている今、こういった手法は消費者に対して、どのような魅力がありますか?

「一つ屋根の下」のものづくりの特徴は、現場での細かい打ち合わせにより完成度の高いものができることです。弊社では東京に自社店舗があり、お客様の声をものづくりに活かせるのも特徴です。CURLY&Co.のスタート時には、デザイナーのイメージを形にすることに工場のスタッフは努めてきました。今ではお客様の声もものづくりに活かすことで、無駄な物を作らないことを目指しています。

 

川北縫製のカットソー新ブランド「SANUA(サヌア)」誕生 クリエイティブディレクター・廣川玉枝氏と社長へインタビュー

川北縫製のカットソー新ブランド「SANUA(サヌア)」誕生 クリエイティブディレクター・廣川玉枝氏と社長へインタビュー

◆クリエイティブディレクター 廣川玉枝氏へインタビュー

Q: 「スキン」シリーズを生み出した「SOMARTA」ならではのよさが「SANUA」でも発揮されそうですが、今回のカットソーの魅力を教えてください。

ブランドをゼロから作るとなったとき、服があふれている現代に向けて、どうしたら長く着てもらい、長く残していけるかを考えました。

一緒に取り組んでいる川北縫製は、香川県を拠点にものづくりを真摯に続けてこられ、確かな技術力と新しいことに挑戦する気持ちがあります。

2019年、リサーチのため、香川県を初めて訪れたのですが、山と海に囲まれた、自然豊かな美しい場所だったので、この地域ならではの強みを活かした地産型の物づくりを発信し、服を通して伝えることができたら素晴らしいと考えました。

そこから、色をテーマに、瀬戸内を表現したものづくりをしていくと面白いのではないかというアイデアが浮かび、SANUAが生まれました。

SANUAというブランド名は、「静寂の中に生命を響かせる」というサンスクリットの造語から名付けました。瀬戸内海の、静かな海のイメージです。「地球から生まれる自然を身に纏う」というブランドコンセプトのもと、自然が織りなす循環の美を表現しています。

そして、カジュアルかつシンプルで、着心地が良く、長く着られる天然繊維をメインに使ったカットソーを、丁寧なものづくりでつくろうと思ったのが始まりでした。100番手の極細繊維の超長綿や、さぬきコットンなどを使用した素材づくりにも力を入れています。

 

川北縫製のカットソー新ブランド「SANUA(サヌア)」誕生 クリエイティブディレクター・廣川玉枝氏と社長へインタビュー

川北縫製のカットソー新ブランド「SANUA(サヌア)」誕生 クリエイティブディレクター・廣川玉枝氏と社長へインタビュー

Q: ボタニカルダイを使用しているようですが、「SANUA」ではサステナブルな取り組みを進めていくのでしょうか。

SANUAでは、自然の恵みから生まれた染色技法を採用しています。瀬戸内海で取れる塩で布を清め、自然から抽出した植物染料にわずかな化学染料を加えることによって、色の発色や定着を安定させたハイブリッドな染色方法です。植物染色特有の、色落ちや色褪せを抑え、現代のライフスタイルに適合させるために二つの技術を融合する必要がありました。

かつて染色とは、布を染める役割だけでなく、花や葉をはじめ、茎、樹皮、果実、種など植物や鉱物から生まれ出る効能や、エネルギーに満ちた自然の色彩を纏うことで得られる力があったといわれています。現代では、産業のあり方から化学染色がメインになっていますが、160年ほど前までは自然染色しか行っていませんでした。つまり、自然染色は最もサステナブルな染色技法だったということです。

衣服は自然のエネルギーを宿した癒しの力を持っていて、着ることで常に自然との関わりを感じていたのです。それらを現代に復活させたいと願い、プロダクトに落とし込みました。

色で表現したのは、瀬戸内海の美しさでした。最も印象深かった、海の青にインスピレーションを受け、今シーズンは瀬戸内の海のブルーをテーマに服づくりをしようと決めました。ボタニカル・ダイ染色で、大海原に広がるグラデーションと水平線を描き、美しい瀬戸内海の青を表現しています。

色彩の源は、瀬戸内海の塩とログウッドという植物です。ログウッドは、かつて世界中の紺や黒を染めるために最も使われた植物なのですが、全ての色素や光源を含むことから、身体と精神を癒す色彩とされていて、瀬戸内の美しい海を表現するのにぴったりでした。

ボタニカルダイでは、植物、鉱物などの自然な材料を染料化して、現在の科学で安全な染料、助剤を組み合わせています。天然染めなので水の汚れが少なく、地球に優しいエコロジカルな染色技法です。

また川北縫製さんの生産背景(自社生産、自社販売)の強みを活かし、適量の生産により無駄な在庫を作らないように取り組んでいます。品質の高いものを作り、シンプルなデザインで長く着られるものを提供することで、破棄を減らし、地球への負荷を減らすことも重要だと考えています。

 

Q: 「SANUA」の魅力を生かした着こなしや着用シーンを教えてください。

日常でリラックスしながら、自分らしく心地よく、自由にアレンジして着ていただけたらうれしく思います。

 

川北縫製のカットソー新ブランド「SANUA(サヌア)」誕生 クリエイティブディレクター・廣川玉枝氏と社長へインタビュー

お二人から頂戴したコメントには、日本の伝統技法を現代的に表現するしなやかさを感じることができました。服を作ることの意味や、現代に望まれる装いなどにも思いが届いている「SANUA」を身にまとうことによって、日本の伝統に触れるとともに、健やかな心持ちにもなれそうな気がしました。

SANUA Head Store 「TheWeft Minami Aoyama」
東京都港区南青山6-12-10 UNITY103
TEL:03.6450.5905
オンラインストア https://sanua.official.ec/

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