「SAINT LAURENT(サンローラン)」は創業デザイナーのイヴ・サンローランがミューズに選んだベティ・カトルー(Betty Catroux、以下ベティ)をテーマに据えた展覧会「BETTY CATROUX YVES SAINT LAURENT 唯一無二の女性展」を2022年11月19日~12月11日、東京・天王洲アイルの寺田倉庫で開催します。入場料は無料です(LINEでの事前予約が必要)。
本展はサン・ローランとピエール・ベルジェ=イヴ・サンローラン財団が協業で企画。ベティに捧げる特別な展覧会として構想されました。クリエイティブ・ディレクターのAnthony Vaccarello(アンソニー・ヴァカレロ)氏はベティをブランドスピリットを体現する人物としてとらえ、今回の展覧会でも監修を務めています。ベティのユニークな個性と、ブランドが守り続けてきたスタイルにオマージュを捧げ、モダンな女性像として会場内のスタイリングを手掛けました。
この巡回展は、過去にパリのイヴ・サンローラン美術館、上海のMoCAで開催されました。今回の東京展では、カフェとブックストアが併設されたのに加え、冨永愛さんによる音声ガイドと共に楽しめる仕組みとなっていて豪華な演出です。
会場内はサンローランらしく黒の空間がお出迎え。サンローラン・ワールドに浸る瞬間がスタート。プラチナブロンドの髪に長身でスレンダーなシルエットのベティはファッションアイコンとして知られたのは、中性的なムードや独自の着こなしで高く評価されました。今回の展覧会でも、ロックスピリットや反骨精神を印象づける写真が数多く展示されています。
展示された写真をひとつひとつ見ていくたびにスタイリングに見入ってしまいます。今見ても新鮮で斬新、そしてスタイリッシュなのです。たとえば、Tシャツの上からベルトを巻く、バッグをネックレスのように首からかける、素肌にジャケットを着るなど、ハズシのスタイリングは今見てもおしゃれでタイムレス。自分らしさを表現していて、スピリッツを感じさせます。おしゃれ好きなら参考にしたいところがたくさん見つかるかと思います。
サンローランが当初掲げていた「マスキュリン・フェミニン・スタイル」を体現しているベティ。サンローランのもうひとりのミューズであるルル・ド・ラ・ファレーズとベティと3人の写真も印象的です。ミューズ2人のおしゃれは対照的。でも、どちらも魅力を感じます。
ベティは2019年、ピエール・ベルジェ=イヴ・サンローラン財団に500点もの作品を寄贈しました。この展覧会のベースになっているのは、この寄贈コレクションです。ブランドを象徴する歴史的ピースのサファリジャケットやイブニングウエア、タキシード、さらには、デニムやレザールックまで、などが「サンローラン」ブランドの特別な存在を際立たせます。
ベティが個人で所有していたオートクチュール作品も展示。「SAINT LAURENT RIVE GAUCHE(サンローラン リヴ ゴーシュ)」のウエアやアクセサリーも披露されています。
ヴァカレロとベティとの会話の映像もあります。実はベティは柄物や巻き髪が苦手だったけれど、雑誌の撮影という仕事だったから我慢したことも。そうしたチャーミングなエピソードも聞くことができます。「人が持っていない、誰とも比べられない、自分の個性を気に入っていた」というベティ言葉は、今の多様性の時代にもマッチしていると実感。反骨精神とシックさが融合しています。
ファッションアイコンのベティから様々な着こなしインスピレーションをもらい、ヴァカレロがベティをオマージュしながらつくりあげたスタイリングからは、改めて「サンローラン」ブランドの魅力を深く知ることができます。
さらに、カフェとブックストアも併設されています。ソファーでくつろぎながら、展覧会の余韻に浸ることができます。
「サンローラン」のヒストリーやブランド美学を体感的に振り返ることができる貴重な機会です。インディペンデントな女性像が支持される今、先駆者といえるベティの姿は時代を超えたロールモデルと映ります。
・展覧会情報
タイトル 「BETTY CATROUX YVES SAINT LAURENT 唯一無二の女性展」
会期 2022年11月19日~12月11日
場所 天王洲 寺田倉庫 B&C HALL
住所 東京都品川区東品川2-1-3
時間 10:00~19:00
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