本日（2022年11月26日）から開幕した『マリー・クワント展』。前日に内覧会へ行ってきました。約100点の衣服をはじめ、小物や写真、映像などが展示され、マリーの仕事ぶりだけではなく、当時の社会状況、ファッションビジネスのありようなども知ることができる展覧会です。
ミニスカートをパリ・オートクチュールで発表した1964年の「クレージュ」が有名ですが、マリーのミニスカートは4年も早い60年にメディアへ登場しているので、マリーのほうが先です。2000年頃の装いを復活させた「Y2K」のトレンドがあって、再び勢いづいたミニスカートですが、ロンドンガールが着始めた当時は古い時代への反抗を示すようなメッセージを帯びていました。
今季の注目トレンドになっているタイドアップ（ネクタイ）や、PVC素材を採用したカラフルなレインコート、身体を締め付けないアンダーウエア、カラフルなタイツなどが展示されています。紳士物のスーツや軍服の生地を女性用に仕立てたキュートな服は今も参考になるものばかり。色あせない「マリーらしさ」がカムバックしました。
「おしゃれな女性は服を着る、服に着られているのではなく」「昔ながらのファッションはもうおしまい。いまはみんな着たいものを着ている」「ファッションはお飾りではなく、人生の一部」「大人になりたくなかったのも、ミニスカートと関係があるかも」などの名言にも共感。
人目を引く、斬新なデザインを、自由に楽しみながら自分らしく着こなすのが、マリーの流儀。着心地の良さや、動きが楽な機能を備えているところも時代を先取りしていました。「おしゃれ＝我慢」の古い意識を否定するポリシーを60年も前から発信していたのもすごいところです。
「チェルシーはロンドンの一地区ではなく、今や世界的に有名なスポットに。ライフスタイルやファッションを意味する名前になった」というマリーの言葉からは、地域ブランディングの時代を見越していた先見の明を感じさせます。
ロンドンのヴィクトリア＆アルバート博物館（V&A）は、#WeWantQuant というハッシュタグで、広く一般から「マリー クワント」の服を募りました。今回の展覧会にも、そうやって集められたアーカイブが飾られています。
https://www.vam.ac.uk/articles/we-want-quant#slideshow=499725&slide=0
イギリスの家庭から寄せられた品々は、「マリー クワント」というブランドが上流階級やファッション関係者だけでなく、幅広い階層の女性たちから支持されていたことを証明しています。ストリートとの共感を重んじたマリーならではの出来事と言えるでしょう。
展覧会の翻訳を監修した中野香織さんのテキストがわかりやすくて、勉強になりました。
最後のグッズコーナーでは図録をはじめ、おしゃれなアイテムがたくさん並んでいて、見終わった後ももう一段、気持ちを高めてくれます。私はベレー帽やポストカードなどを購入。マリーが最初に開いたショップの名前である「BAZAAR」の文字入りのショッパーもありました。
イギリスでは約40万人が訪れた注目の世界巡回展、おすすめです！
『マリー・クワント展』
2022年11月26日(土)～2023年1月29日(日)
会場 Bunkamura ザ・ミュージアム（東京・渋谷）
https://www.bunkamura.co.jp/museum/
～参考記事～
ミニスカートはどうやって生まれた？ 女性起業家の先駆けだったマリー・クワント
https://news.yahoo.co.jp/byline/miyatarie/20221123-00325093
