2024年度の「第42回毎日ファッション大賞」の受賞者が発表されました。大賞は「Maison MIHARA YASUHIRO(メゾン ミハラヤスヒロ)」の三原康裕デザイナーが受賞しました。
新人賞・資生堂奨励賞は「HARUNOBUMURATA(ハルノブムラタ)」の村田晴信氏が受賞。鯨岡阿美子賞には日本ファッション・ウィーク推進機構の三宅正彦・前理事長が選ばれました。
三原氏は多摩美術大学在学中に独学で靴作りを始めたという、ウエアから入る人が多い日本のファッションデザイナーの世界では異色ともいえる経歴の持ち主です。1996年にシューズブランド「MIHARAYASUHIRO」を立ち上げました。
99年からはウェアラインを東京コレクションで発表しています。パリでの作品発表を続けていて、国外でもファンの多いデザイナーです。とりわけ、靴づくりで培った職人技を注ぎこんだ作り込みの深さにはカルト的な支持者が大勢います。
2000年にプーマと協働して制作したスニーカー「PUMA by MIHARAYASUHIRO」は「スポーツ×ファッション」のコラボレーションの先駆け。2016年のブランド20周年を機にブランド名を「Maison MIHARA YASUHIRO」に変えました。
ビジネスとクリエーションをしっかり両立させつつ、軽やかでしなやかなデザイナーキャリアは、ファッションビジネスに携わる人たちの秘かなお手本になっているようです。ブランドが成長しても、新たな挑戦を忘れないそのチャレンジ精神は、多くのクリエーターにとってロールモデルといえるでしょう。また、技術やノウハウを惜しみなく後進に伝授し、陰に日向にサポートすることで、後に続く人材を数多く送り出してきました。
新人賞・資生堂奨励賞の村田氏はエスモードジャポン東京校を卒業後、PR会社を経て、イタリアへ。「John Richmond(ジョンリッチモンド)」や「JIL SANDER(ジルサンダー)」などで経験を積んで、帰国後の2019年に自らのブランドを設立ました。ブランドコンセプトは「Luxury of Silence (ラグジュアリーオブサイレンス)」。表層的な華美なものではなく、ブランドを通じて内面も含めた人間の美しさを引き出していきたいという想いが込められているそうです。ミニマルなスタイルやヨーロピアンな美意識が持ち味で、テクニック面でも高い評価を受けています。
鯨岡阿美子賞に選ばれた三宅氏は日本ファッション・ウィーク推進機構(以下、JFW推進機構)の理事長を2011年から24年6月まで務めました。JFW推進機構は国内最大級のファッションウィークである「東京コレクション」を主催。単なるファッションショーの集合体にとどまらない、各種のイベントやアワードなどが複合したファッションの祭典に育て上げました。三宅氏は関係機関との交渉に加え、運営資金の工面のために奔走。ファッションウィークを安定的に継続するために尽力した功績で知られています。また、デザイナーのクリエーションを理解し、多くのデザイナーを世界へと輩出してきたその功績は、非常に大きいと言えます。
「毎日ファッション大賞」(毎日新聞社主催、経済産業省後援)は、毎日新聞の創刊110年を記念して1982年に創設されました。こうした本格的なファッションアワードが40年以上も続いているのは、ファッションに携わる者として誇らしく感じます。受賞者のみなさま、あらためておめでとうございました。
受賞者インタビューを含む特集記事は、10月上旬の毎日新聞朝刊に掲載される予定です。
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