VOGUE NIPPON編集長の講演会(ラグジュアリーブランドビジネス)

V1ラグジュアリーブランドビジネスについてのイベントにご招待いただき、お邪魔してきました。こちらは、ファッション関係者や業界紙、雑誌社のほかに、選ばれたブロガーの人たちも数人参加していました。

V0002イギリスの「フィナンシャル・タイムズ」ジャパン主催のイベントです。同紙は世界屈指の権威ある経済紙です。アメリカのウォールストリートジャーナル、日本の日本経済新聞と並び称されています。

銀座のブルガリ8Fレストランが会場。わずか20人ほどの会でしたので、ゲストスピーカーである「VOGUE NIPPON」編集長の斎藤和弘氏のお話を間近でたくさん聞くことができました。

斎藤氏のお話で印象的だったのは、同誌の中の広告約100ページのうち、ページの前に来れば来るほどポジショニングが高い(スーパーブランド)という意識は、今の東京・銀座に進出するブランド企業の狙いに通じるという点でした。

銀座にお店をオープンすることにより、ラグジュアリーブランドの一員であるということが証明できる。1坪26万円もする銀座で利益が出なくても出店することで広告と同じ効果を得られるわけです。自分たちのポジショニングを証明するだけで大成功というわけです。

銀座でブランド品を買う人たちの約10~20%が中国人ではないかという指摘にも、ハッとさせられました。言われてみれば、確かに、中国系とおぼしきグループが銀座のラグジュアリーショップ内でお買い物している姿をよく見かけます。実際、ラグジュアリーブランドではないですが、かつて私が「アナ スイ」表参道店の店長をしていたときも中国系の人がたくさん買っていってくれました。

NYコレクションや先日のカナダコレクションに行ったときに、中国のバイイングパワーが急激に強まっているのを感じました。ランウェイを取り巻く中国人バイヤーが多かったことや、その数が増えていることを、ここ数シーズン、はっきり感じます。

さらに食のお話もありました。2007年秋に発売された「ミシュラン」には、和食とフレンチばかりが掲載されていると、一部からは言われているそうですが、この本のおかげで、中国人観光客はこの本に載った店に押し寄せているそうです。実際、斎藤氏が恵比寿のロブションや六本木の高級和食店に行ったときも、半分以上のお客さんが中国系だったというお話でした。

この話には私もすごく納得しました。以前、六本木の「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」に行ったとき、カウンター席背後のテーブル席に中国系の団体がいたのを強烈に覚えています。中華料理店のようにテーブルを囲み、賑やかに食事。観光帰りと思われるTシャツ&ジーンズのラフな格好のままで。さすがにこの時は、「ちょっと……」という気がしましたが…[E:happy02]。

とにかく、今、中国のマーケットは熱い。中国の人たちは日本でもブランド品をたくさん買っていく。斎藤氏の視点はグローバルに広がっています。

日本では、バブル期は上から下までワンブランドで固めるのがオシャレの鉄則でした。でも、今のアラウンド25歳の人たちは、生まれたときから周りにブランドがたくさんある中で育ってきているので、その中から自分に合う物を選びます。

例えば、シャネルのバッグにアバクロのTシャツで合わせたりなどの「ミックス&マッチ」が当たり前。

NYでファッショニスタといわれる人たちも、ヴィンテージ(古着)とハイブランドのミックス着こなしが上手です。

そんな中、銀座にこの秋オープンする「H&M」や「アバクロ」は、銀座の中での「ミックス&マッチ」を生む可能性があります。

買い手の志向がこう変わってくると、ラグジュアリーブランドはヘビーロイヤルユーザーだけに特別なアプローチを仕掛けていかなければならなくなりそうです。こういった斎藤氏の読み解きはスリリングでもあり、予言のようでもあります。でも、実際に半年、1年後にはその通りの現実が生まれていくのでしょう。こうした賢人のメッセージを今の時点で聞けるのは、先を読む必要のあるビジネスパーソン、クリエイターには価値が大きいことでしょう。

斎藤氏の考えでは、このヘビーロイヤルユーザー向けマーケットで勝ち残れれば、5~10年後に中国・ロシアで勝ち残れるということです。

今回の講演会の主催者である「フィナンシャル・タイムズ」主催の「FT Business of Luxury Summit 2008」が5月28日~30日まで東京で開催されます。今年で4年目を迎えるイベントです。こちらでは、世界中のハイブランドのトップ層、企業の意志決定者、投資家が一堂に会します。

LVMHのマネージング・ディレクター、ステラ・マッカートニー社長、ボッテガ・ヴェネタ社長をはじめ、日本からは斎藤編集長のほか、伊勢丹の武藤社長、セオリーの佐々木社長、森ビルの森社長とそうそうたる顔ぶれです。

最高の情報を手に入れるためには最高の価格というのが当然なのでしょうね(参加費を見て目が真ん丸になりました…[E:eye][E:sweat01])。
興味がある方は、こちらをご覧下さい。

http://www.ftbusinessofluxury.com/images/contentpage/ft1-6.pdf

フィナンシャル・タイムズ
http://www.ft.com

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