「コムデギャルソンのためのコムデギャルソン展」というおもしろいネーミングにいきなりやられました。もともとコムデギャルソンの社員のために企画されたイベントで、2004年の6月からスタートしました。川久保玲社長が「販売するには、私と同じ価値観をスタッフが持つ必要があると感じる」と言っていることもあって、川久保氏のDNAを伝承するための社員教育を兼ねています。
第1回は対照的なマスブランド「GAP」と対比した展示、第2回はメンズコレクション中心、そして今度の第3回は「印刷物」がテーマです。新宿パークタワービル(東京・新宿)で一般公開(無料)されました。
会場にはブランドを立ち上げてからの36年という歴史を感じさせるブランドならではの迫力が満ちていました。実際に展示されていたのは、1992年以降のアーカイブ(記録)です。
一般人が見ることのできないコレクション・インビテーションカードや各ショップのダイレクトメール(DM)などが壁に無造作に貼り出されていました。
モノクロの写真はダークな表情。常に前衛的でアバンギャルドであり続けようとする精神が伝わってきます。ストイックささえ感じます。
思い出として、昔、私が伊勢丹新宿本店で「ニコル」の店長をしていた頃、近くに「コムデギャルソン・トリコ」がありました。当時、川久保氏はよくふらりと店を見に来ていたのを覚えています。その頃の「トリコ」の店長から聞いた話ですが、コムデギャルソンでは販売員の最終面接に必ず川久保氏が立ち会うという話でした(現在はどうかわかりませんが)。
店に行けば分かりますが、スタッフに対しての教育は徹底しています。トップブランドであり続ける理由の一つがここにあると思います。販売スタッフの装い、接客を通じて、ブランドの哲学やイメージが私たち消費者に伝わり、またコムデギャルソンのファンが増えていくのでしょう。
消費者にブランドイメージを伝える上で、販売スタッフがとても大事な役割を果たすのだということを、デザイナー本人が確信しているのは素敵なことです。販売経験が長い私はとても共感できます。
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