(2005/3/24) 衣装展「Glamour」

ニューヨークのファッション工科大学(Fashion Institute of Technology、F.I.T.)の美術館で開催されていた、1930年代から今日までの、主にハリウッドスターたちのために作られた衣装の展覧会「グラマー(Glamour)」を見に行きました。「Glamour is sex appeal plus luxury plus elegance plus romance.」という題名の通り、セックスアピール、贅沢、優雅、ロマンスが詰まった展覧会でした。

 今日の一流のデザイナーの多くが過去のデザイナーのスタイルからインスピレーションを受けています。一時代を作った作品には、今見ても心を奪われます。

 会場では1930年代の「ココ・シャネル」のシルバーのスパンコールドレスなどがずらり。ブロードウエー・ショーのために洋服を作ったといわれる、「エイドリアン(Adrian)」の37年の紅赤のイブニングドレスとケープの組み合わせが素敵でした。50年代の「クリスチャン・ディオール」のイブニングドレスもありました。

 68年の「バレンシアガ」のクリスタルドレス。上流階級の女性だけのために洋服を作っていたといわれる「アーノルド・スキャッシ(Arnold Scaasi)」の69年のスパンコールのチュニックとベルボトム風パンツのセットアップ。70年の「マダム・グレ(Madame Gres)」の黒のプリーツ加工ドレスなど、歴史のあるデザイナーの作品を目の前にして見ることができて、ため息ものでした。

 中でも「エイドリアン」の紅赤のイブニングドレスとケープの組み合わせはまさにハリウッドスターを象徴していて眩しすぎるくらい輝いていました。個人的に好きで「着てみたい」と思ったのは、「アーノルド・スキャッシ」のスパンコールのチュニックとベルボトム風パンツのセットアップで、少しヒッピー風のデザインです。

 さらに、80年の「ジバンシィ」、82年の「イヴ・サンローラン」、85年の「ヴァレンティノ」、91年の「ボブ・マッキー(Bob Mackie)」、92年の「ジャンニ・ヴェルサーチ」、98年の「ヨウジヤマモト」、99年の「セリーヌ」、2002年の「アズ・フォー」、2003年の「グッチ」、2004年の「ドルチェ&ガッバーナ」「ジョン・ガリアーノ」「プラダ」「ザック・ポーゼン」「キャロライナ・ヘレラ(Carolina Herrera)」と、時代を代表する作品がきちんと年代順に並べられていました。

 「ボブ・マッキー」の真っ白のビーズ・イブニングドレスにフォックスのストールを巻いた衣装は、歌手・マドンナが91年の米アカデミー賞授賞式で着ていた衣装。見るからにセクシーでゴージャスでした。「ボブ・マッキー」はバービー人形の衣装を毎年手がけていることでも有名です。

 個人的には2004年の「キャロライナ・ヘレラ」のロングシャツドレスもおもしろかったと思います。シャツがロングドレスになったデザインで、スパンコールやビーズなどの光り物はいっさいついていなくて、シンプルなピンストライプのコットンシャツがベースです。しかし、シルエットはまるで往年のハリウッドの女神たちがよみがえったかのようで、それでいて古びて見えない洗練されたクチュールドレスでした。

 F.I.T.の美術館での展覧会は無料です。こんなに素晴らしい作品を無料で見れるなんて、さすがファッションをビジネスとして考えているニューヨークならではです。

 こういった素晴らしい作品を見ることによって、優秀なデザイナーがまた生まれてくるんだろうと思わされました。日本にもこういったチャンスがあればなぁ、とあらためて感じました。「Glamour: Fashion, Film, Fantasy」展は4月16日まで開催されています。

[関連リンク]
・FIT Fashion Institute of Technology
Seventh Avenue at 27 Street New York City
http://www.fitnyc.edu/museum

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