2017年9月、パリ・ファッションウイークの期間中に「MULBERRY(マルベリー)」は2018年春夏コレクションをプレゼンテーション形式で発表しました。
エドワード王朝時代、アスコット競馬場のレディースデー、ガーデンパーティー、高級ボーンチャイナで味わう紅茶といった、英国の伝統に着想を得ています。過去の時代の楽しいひとときが現代のコレクションのインスピレーション源となっています。
「英国、イングランドの文化を大切に表現したい」と、クリエイティブディレクターのJohnny Coca(ジョニー・コカ)氏は言います。「アンティークの陶磁器をオブジェのように壁に飾ったイギリスのお屋敷を訪れたことがある。その家には受け継がれていく伝統があった。次の世代に手渡し、その世代がまた新たなものを生み出していくという伝統です」。
英国の陶磁器に描かれているフラワープリントや、海辺のデッキチェアに見られるクラシックなマルチカラーのストライプからヒントを得ています。カラーパレットは色褪せたブラッシュやアンティークブルー、ダスティイエロー、鮮やかなフィールドグリーン。大胆な幾何学柄とリーフ・プリントのような相反する2種類のプリントを組み合わせ、マルベリーらしい英国のエキセントリックさを表現。
細身のジャケットやゆるやかにフレアを入れたパンツルックなど、リラックスしたテーラリングのモダンなシルエットを組み合わせました。ワイドなカッティングのドレスには、フリルやオーガンザなど20世紀初頭に見られた要素をコラージュ。サイズやボリューム、デコレーションでの遊びが見られます。
プリントやスパンコール刺繍を施したドレスはスクエアにカットすることで、1920~30年代のドレープ使いに見られる、ボディを包みこむようなフォルムに仕上がっています。ラッフル袖のブラウスにミニスカートを組み合わせたり、洗いをかけたサテンのフレアパンツにビンテージの水着のようなボディコンシャスなトップスを合わせたり。装飾のモチーフには全体にラッフルとプリーツを使用し、シルエットに構造とボリューム感、動き、グラフィカルなテクスチャーをもたらしています。
バッグは「マルベリー」の次世代のスタイルを意識しています。ウェアのコレクションに登場した優しい縁取りのギャザーやフリルをアクセサリーにも取り入れました。オフホワイトやポーセリンブルーといったバレリーナ風の色調に、オックスブラッドなどのコントラストを成す鮮やかなカラーコンビネーション。英国のお屋敷に見られる木目のフローリングのようにストライプのモチーフを丹念にはめ込み、「マルベリー」のレザークラフトならではの技術を駆使しています。馬具からインスパイアされたライダーズロックも新パーツです。
ジュエリーがバッグの分野にも使用されています。表面をビジューで美しく飾られた、まるで家宝のジュエリーケースのようなデザイン。ブローチはオーバーサイズのイヤリングになり、ベルトにはエナメル加工のデコレーションが加えられ、イヤリングは小さなシャンデリアのような仕上げを施しています。
シューズではローヒールや少し角張ったトゥ、陶製の花瓶のような丸みのあるトゥで強さと繊細さの相反する要素を表現。やや上向きの丸いトゥのバレエスリッパには柔らかいナッパレザーを使用し、ラッフルの縁取りやリボンストラップをあしらっています。一方、デイリーにも使いやすいブドワールスリッパのようなファーのトリミングを施したタイプも登場しました。
英国の歴史や伝統からインスパイアされるコカ氏のデザインはウィットに富んだ誇張された帽子のコレクションにも見受けられます。映画『マイ・フェア・レディ』でサー・セシル・ビートンの衣装とともに不朽の名シーンとなったアスコット競馬場のレディースデーを思わせる帽子をクリエイト。帽子そのもの、そして帽子をかぶるという英国の素晴らしい伝統を讃えています。
英国ムードは17年秋冬以降も続きそうなホットトレンド。英国ブランドである「マルベリー」は伝統的なイメージを生かしながら、今の気分を写し込んで、モダンブリティッシュの雰囲気を醸し出しています。
MULBERRY
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