「LOEWE(ロエベ)」はパリ・ファッションウイーク期間中の2018年3月2日、パリ市内のユネスコ(国際連合教育科学文化機関)本部内で2018-19年秋冬コレクションを発表しました。
ロエベのショースペースには、日本人芸術家の工藤哲巳氏によるネオダダ彫刻と共に、E.W.ゴッドウィンがデザインした家具や暖炉が配置されました。一見すると調和していないように思えるこの組み合わせですが、アーツ&クラフツの伝統に対するゴッドウィンの貢献は、ビクトリア時代のジャポニズムに強く影響されており、工藤氏が作り出すグロテスク小宇宙に対する現実的補完として機能しているのです。
クリエイティブ ディレクターのJonathan Anderson(ジョナサン・アンダーソン)氏が内向性の見せ掛けに疑問を投げかけるロエベの18-19年秋冬ウィメンズ・コレクション。そこには、オーガニックとインダストリアルが出会う、哀愁の漂う空間が存在しています。
1900年代半ばの影響を受けたフォルムには現代的なフィルターを通した解釈が与えられ、原始主義の退廃による影響を受けながらも、そこには確固たる厳格さが存在しています。
レザーはロエベの伝統を大切にしながら、表面と装飾の両方に使用されています。トップステッチを入れたなめらかなカーフスキンは、コットンのプリーツドレスをカッチリとさせたり、レースに編み込まれたり、あるいは柔らかいスモックやパンツを縦に流れるパネルとして使われたりしています。フラットなギャバジンや贅沢なシアリング、またはザックリ切った視覚的なジャカードを使ったフレアコートやケープがボリューム感を演出しています。
テーラリングの概念を覆すかのようなパンツスーツは、ウールやシルクジャカード、フィールドチェックを使い、そこにサックポケットや着物の袖を合わせることで流れるような仕上がりを生み出しています。シャツの襟や裾はアーチを描き、ブレザーは蝶ネクタイのように巻かれています。
色の異なる複数の糸を使った巻き物を取り入れることで、タイトなストレートドレスにスリットを加えたり、あるいは全く異なる布地を一つの服としてまとめあげたりしながら、セクシーな雰囲気もプラス。そしてランジェリーでは、水玉模様と千鳥格子のグラフィックなタッチにより、ロマンチックなムードを抽象的に表現しています。
伝統的なサドル・バッグにロエベならではの解釈を与えることで生まれたノット付き「ゲート」バッグは、2018年秋冬、光沢のあるボックス・カーフスキンと千鳥格子柄のウールパネルを使った新たなイメージで再登場します。今回は、エキゾチックなトップハンドル付きの小ぶりなトートとしてアップデートされています。
各客席にはロエベが出版した5つのハードカバーの古典小説がゲストにプレゼントされました。5つの小説はギュスターヴ・フローベールの『ボヴァリー夫人』(1856年)、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』(1847年)、ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』(1897年)、ジョセフ・コンラッドの『闇の奥』(1899年)、そしてミゲル・デ・セルバンテスの『ドン・キホーテ』(1605-1615年)となっています。
5つの小説が示す通り、コレクションにはストーリーが感じられます。17世紀から19世紀にまたがるセレクトからもうかがえるように、ロエベならではのタイムレスなテイストが、オーガニックとインダストリアルといった異なる要素のミクスチャーと重なり合って、新たなラグジュアリー感を醸し出しています。
#LOEWEFW18
LOEWE
http://www.loewe.com/