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ニューヨークブランドの「ALEXANDER WANG(アレキサンダー ワン)」は2018年6月3日、新コレクションを発表しました。本来の順番でいくと、19年春夏シーズン向けとなるのですが、今回はあえて発表時期を、通常の9月より3カ月も前倒しにして、シーズンの常識にとらわわれない姿勢を打ち出しています。コレクション自体も「コレクション1」と名付けられ、新たなスタートを印象づけました。
ショー会場に選ばれたのは、ブルックリンブリッジに近い「Pier 17」のルーフトップ。このショーで、現代のアメリカの歪んだ感性と、アメリカ系中国人であるアレキサンダー・ワン氏のルーツとコミュニティから見たアメリカンドリームを表現しました。
ブランドロゴも新しくしました。新しいロゴ「alexanderwang」は小文字のフォントを使用。これまでよりもデジタルっぽく、インパクトがありながらも楽天的な気分を宿しています。ブランドのDNAである「ストリート」は引き続きコレクションの柱に据えられています。ストーリーは2018年10月から始まる5回のデリバリーに合わせて分けられています。
幼い頃に自分が「アウトサイダー」だと感じさせられた象徴的なアメリカのポップカルチャー。再解釈したアメリカンフラッグ。スポーティーな要素にロックンロールとニューヨークのパンクを組み合わせハイブリッド化したガーメント。輝くメタルでのスタッズを打ったレザー。安全ピンで装飾したドリームキャッチャーと鎧のセカンドスキンのようなインナー。
このようなテーマや素材が組み合わされて、アメリカンでロックな美意識が漂っています。ステートメントなハードウェアと実用的なテクニカルな素材を官能的なシノワズリのモチーフとシンボルに発展させ、伝統的なドレスに見られるかしこまった印象を排除しました。
ワン氏は「私は季節性の壁を崩し、すべての人が理解しやすい言語を話したいと思います」と述べ、あえてNYファッションウイークの時期からはずれて、独自の発表タイミングを選んだ意図を説明しています。予定では次の発表は12月が見込まれています。コレクション内容も季節をまたいで着られそうなウエアが多く、自在の着こなしに誘います。
全体にストリートテイストを打ち出しながら、どこかアメリカとNYへの郷愁を帯びたコレクションに仕上がっています。ワン氏のパーソナルな記憶やメッセージが一段とはっきり盛り込まれていて、新たなスタートにふさわしい充実ぶりが感じられました。
ALEXANDER WANG
https://www.alexanderwang.com/jp