「MM6 Maison Margiela(MM6 メゾン マルジェラ)」はロンドン・ファッション・ウイーク期間中の2018年9月17日、ロンドン市内のコヴェントガーデンで2019年春夏コレクションをプレゼンテーション形式で発表しました。全体にアーバンでありつつ、パンク風味も加わって、刺激に富んだコレクションに仕上がっています。
ストリートの気分と、つややかな質感、あでやかな色使いが交じり合っています。このコレクションは、メゾンが1994年に発表したAIDESチャリティーTシャツにインスピレーションを受け、社会的メッセージや政治的責任のコンセプトが反映されているそうです。ヴィンテージやサステイナブルの感覚も盛り込まれました。
パリの有名な蚤の市「クリニャンクール」で見つけた、パリらしいヘリテージピース、トラディショナルなアイテムが、ロンドンのユースフルなアーバンストリートウエアとして再解釈されました。ヴィンテージ感を真似た加工や、完全な複製も含めて、ヴィンテージのムードを帯びています。
たとえば、サテンのヴィンテージ ドレスは、コットンのスウェットシャツに縫い付けられています。パステルのパープル、ピンク、ピスタチオといった色にも、どこか懐かしげな雰囲気が漂います。
古着がフリーマーケットでリサイクルされると、もともとのデザインが流用されることになり、結果的に再利用を通してアイデアが再解釈されることになります。今回のコレクソンではこうした流れを一種のサステイナビリティ(持続可能性)ととらえています。
具体的にはナローショルダーのコットンテーラリングのアイテムやパッチワークデニムなど、メゾンのアイデアやシグネチャーアイテムがMM6らしい解釈でモダンにアップデートされています。スリップドレスはハンドバッグとして、AIDES Tシャツはダブルファンクションのショルダーバッグに、クラシックなプラスチックのショッピングバッグはビニールで再解釈されました。
オリジナルのAIDES Tシャツのテキストである“THERE IS MORE ACTION TO BE DONE TO FIGHT AIDS THAN TO WEAR THIS T SHIRT BUT IT’S A GOOD START(エイズと闘うためにすべき活動はもっとあるが、このTシャツを着ることは良い始まりだ)”は服の外だけではなく、見えない部分にもあしらわれています。このコレクションの売上の一部は、HIVウィルスとエイズの撲滅、および患者へのサポートのために設立されたフランスのNPO団体「AIDES」(www.aides.org)に寄付されます。
透明なプラスチックシューズやサンダルの中に「タビ」ソックスを合わせ、アイコニックな「タビ」ブーツのように見せかけています。このトロンプルイユはオリジナルへのオマージュです。
ファッションに社会正義や倫理、責任感を求める意識が高まる中、メッセージ性の強い提案が今の気分を映し出しています。程よい主張も今回のコレクションを特別な存在として印象づけています。
CREDITS
Stylist: Robbie Spencer
Set designer: Derek Hardie Martin
Hair: Mari Ohashi at LGA Management using Davines
Make-Up: Nami Yoshida
Music: Frederic Sanchez
MM6 MAISON MARGIELA
Maison Margiela
https://www.maisonmargiela.com/jp