「beautiful people(ビューティフルピープル)」がパリ・ファッションウィークのオンラインプラットフォーム上で2021年10月3日、2022年春夏コレクションを発表しました。テーマは「Side-C Vol.7 “Multiplicity”」。1着の服にMultiplicity(多様性)を盛り込みました。
日本語訳は同じ「多様性」という言葉でも、ダイバーシティーとは異なります。今回はどちらかと言えば、多岐にわたるとか、多彩に使いこなせるといった感じでしょうか。実際に動画の中では何種類にも着方を変えられるバリエーションが提案されています。決まり切った着方以外を自分の工夫次第で掘り起こせる楽しみがあり、着こなす側の知恵と度胸を試すかのようでもあります。
今回の「ビューティフルピープル」のウエアは実用性を備えたうえで、見た目にもウィットやギミックを仕掛けてあり、奥深い遊び心が感じられます。
表裏、上下、前後、左右をスイッチすれば、別の表情を見せ始める服がそろいました。ひっくり返したり、回転させたりといった「逆転」によって、フォルムが劇的に様変わり。天気やシーンなどに合わせたトランスフォーム(変形)を試せます。
ブラウスはスカートに、スカートはドレスに、そして水着が街着に早変わり。一般には面倒な「作業」や「準備」と思われがちな「着替え」という段取りさえも、心が弾む冒険の時間に変えてしまうような、ポジティブでいたずらっぽい提案です。
キーモチーフとして打ち出されたのは、幾何学的な抽象画で知られるピエト・モンドリアンの代表作『コンポジション』。ストライプ柄もパンツやスーツに動きを加えています。
宮沢賢治の有名な詩「雨ニモマケズ」を添えてのコレクション発表には、困難な時代にあっても、へこたれず前を向く意志がうかがえます。自在に着方を変えられる、しなやかな着こなしに導く服も、着る人の強さや能動性を後押しするかのようです。
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