「Mame Kurogouchi(マメ クロゴウチ)」は、2022年9月27日、パリ・ファッションウイークで2023年春夏コレクションを発表しました。テーマは「Bamboo Groove」。竹籠の造形や編みの技術、竹の質感などからインスパイアされたコレクションです。
20世紀初頭に活躍した作家の飯塚琅玕斎が得意とした「束編み」を彷彿とさせるテクニックは、ニットピースに多用されました。緻密な編みと大胆な透かしによるリズムとグルーヴがコレクション全体に通奏低音を響かせています。
軽やかなシルクの楊柳ジャカードのピースやシルクオーガンジーのトップスは、織りや刺繍で表現された竹林柄と上品な透け感のファブリックにより、竹そのものが持つ凛とした美しさを体現しています。
大分県で戦前に生み出された竹ビーズは再び生産されました。グラデーション染色が施され、特殊なマクラメ編みのドレスやベスト、スカートとして登場しました。
ブランドの最もアイコニックな表現として過去にも登場したコード刺繍は、竹籠そのものを思わせる構築的なシルエットと極細のコードにより、これまでで最も精巧な表現へとたどり着きました。
様々な素材の生地を裂織し、丸みを帯びたジャケットには、デザイナーが自ら手びねりで成形を加えました。佐賀県有田町で作陶する小物成窯と共に制作された特別なトグルボタンが付属します。
カラーパレットは竹林を思わせるミントグリーンや、炙られた煤竹の持つ自然なブラウンのグラデーションなど、ナチュラルなトーンが主体。竹の節は有松絞りの技法で表現されています。
アクセサリーは真竹をいぶし、束編みの技法で作られたネックレスやピアス、イヤーカフが用意されました。竹ビーズを使用しマクラメ編みされたコードが付属する、KIJIMA TAKAYUKIとのコラボレーションハットも登場。幅広く竹籠の表現が用いられています。
シューズは卵型ヒールのコード刺繍パンプスや飾り編みのようなディテールが印象的なサンダルが足元を彩ります。履物関づかとのコラボレーションでデザインされた草履もラインナップされています。
日本の各地に息づく伝統技法への敬意がコレクションにタイムレスな深みをもたらしています。工芸との縁(えにし)が濃いのに加え、しなやかさや季節感、東洋ムードなどを兼ね備える「竹」という素材への着眼は日本文化に深く分け入るデザイナーならではです。