黒河内麻衣子デザイナーのブランド「mame（マメ）」が2017年春夏シーズン向けのコレクションを発表しました。テーマは「TIMELESS」。その言葉が示す通り、長く愛着を持って着続けられそうなウエアがそろっています。
「TIMELESS」という言葉は、『きことわ』で芥川賞を受賞している作家の朝吹真理子氏が連載中の小説からとられているそうです。デザイナーは自身と同い年である朝吹氏の小説から、懐かしい記憶が呼び覚まされるような体験をすることがあるといいます。
もうひとりのインスピレーションミューズとなったのは、遺品と向き合うことで今を撮る写真家の石内都氏。メキシコの画家、フリーダ・カーロ（1907～54年）の遺品を撮影した仕事は2016年に個展「Frida is」として公開され、映画にもなりました。
黒河内デザイナーは着想源とコレクションの関係に関して「フリーダが最期に遺した美しい服たちのように、大切に作ったこの服を残したい。誰かにとってもそうであったらなお嬉しいなぁと思う。そして、フリーダが今生きていたら着て欲しいし、小説の中のうみちゃんもきっと着てくれると思う。そんな気持ちで作った私のTIMELESSな服たちだ」と述べています。
クリエーションの過程については「このコレクションを作っている最中、古く美しい生地やレースのアーカイブを見てきた。それは日本から遠く離れた場所でもあったし、雪深い場所でもあった。それらは懐かしく、繊細で儚く美しいものだった。誰かのために作られた美しい生地たちは、自分のクローゼットに入っていたら、明日着たいなと思えるようなものだった」と説明。日本の各地に息づく匠の技や素材の美を大切にする姿勢、様々な記憶を織り交ぜて服のかたちにまとめ上げる編集的技法をあらためて感じさせます。
コレクションの全体的ムードは目先のトレンドを追う感じではなく、むしろどこかクラシックで懐かしげ。それでいながらも、オーバーサイズやエクストリームといった今の流れは自然に生かされていて、タイムレスとタイムリーが同居するかのよう。フォルムはたっぷりめに生地を使って、伸びやかな落ち感を演出。コルセット風のディテールや、袖先の開き、深いＶ襟などにもタイムレスな気分が写し込まれています。淡いトーンのピンクがやわらかいフェミニンを感じさせます。
mame
http://www.mamekurogouchi.com/
（問い合わせ先）
ブランドニュース： 03-3797-3673
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