「malamute(マラミュート)」が2019年10月11日、2020年春夏コレクションを発表しました。ランウェイショーの会場に選ばれたのは、東急王・北青山にある、京都造形芸術大学の外苑キャンパス。小雨が降る中での屋外ショーとなりました。
見るからにさわやかで涼やかなオールホワイトのパンツ・ニットアップで幕開け。襟付きトップスの上から、同じ編み地の羽織り物を重ね、ニットのアンサンブルにまとめ上げました。春夏ウエアにふさわしく、ほんのりと透ける、レース風の編み地を採用。レースのロンググローブも清らかなムードをまとわせています。
ニットでデビューし、ニット表現を深め続けてきた小高真理デザイナーは、ニットにリュクスや大人感を忍び込ませました。ボリューミーな袖やパンツのセットアップでエレガンスや落ち着きを加えています。スリーブレスのジャケットと裾折り返しの深いジーンズといった、テイストの異なるアイテム同士のミックスコーディネートも装いの表情を深くしていました。
「落ち着きのない波」という意味の「The Restless Waves」をコレクションテーマに据えて、着姿にざわめきを呼び込びました。グリーンと白が交じり合う、パンツのニットアップは編み地も入り組んでいます。色・柄と素材、編み方を、複雑に交差させて奏でたのは、不安定な「ノイズ」のハーモニーです。
立体的なレイヤードも組み立てました。ビスチェ風のニットキャミソールを、一番上から重ねて、編み目のゆるいハイゲージを生かして、軽やかな重層感を引き出しています。ボーダー柄トップスと花柄スカートを引き合わせるような、モチーフミックスも試しました。パッチワーク風の編み地・素材のモザイク使いは、背中側にも見どころを用意しています。
サステイナビリティーがグローバルトレンドに盛り上がる中、廃棄ロスを減らせる無縫製ニットを取り入れていたのは、高い志を示しています。グリーンをキーカラーに位置づけつつ、白やブラウンなどを用いた色使いにも、ナチュラル意識がうかがえました。
ニットは歴史的にはモード素材ではなかった時期が長く、ココ・シャネルやソニア・リキエルがニットの居場所を引き上げました。近ごろはコンフォート(着心地、快適さ)を求める人が増えて、ニットは品格ルックのピースとしても重宝されるようになっています。今回の「マラミュート」は、ニット服そのものの価値や表現力を、もう一段高めるコレクションに仕上がっていました。
malamute
http://malamute-knit.com/