「IRENISA（イレニサ）」の2025年春コレクションが2024年7月11日、東京・原宿で発表されました。小林祐氏と安倍悠治氏によるデザイナーデュオが手がけています。ブランドコンセプトは“CHIC WITH SARCASM” 「シックに潜む皮肉」。パターンに強みに持ち、自らを「服飾造形作家」と捉えています。
コレクションのインスピレーションとなったのは、20世紀イタリアを代表する美術家、ルーチョ・フォンタナ（Lucio Fontana）。彼は「空間主義」を提唱し、キャンバスに切り込みや穴を開けることで、伝統的な絵画の二次元を超え、作品が物理的な空間と対話する新しいアートフォームを創り出しました。
フォンタナの作品は、洗練されているけれど、少し狂気を帯びているようにも見え、型破りな発想があります。この考えに影響を受けて、「VariableVoid（＝可変する空間）」をテーマに掲げました。
両氏は「衣服と身体の間にある“空間”を造形して、意識をデザイン」したいと考え、作品に落とし込みました。気負いのないセットアップやロングシャツ、クロップドニット、ジレなどを使った長短レイヤードが印象的。今シーズンからデビューするウィメンズはニュアンス感のあるシアー素材を取り入れたり、マスキュリンなテーラードジャケットと組み合わせたりと、大人スタイルを提案しています。
サマーウールには和紙糸で立体的なストライプを織り込み、伝統技法の籠染めでグラフィカル柄を表現しました。リラックスした中に、緊張感と奥行き。「間（ま）」を意識したコレクションです。
今回の音楽は作曲家でアーティストの若狭真司氏が書き下ろしました。アップライトベースによるライブパフォーマンスで立体的な音響空間を作り上げています。音響機材はイタリアのスピーカーメーカーの”K-array”のサウンドシステムを使用しています。
レディースがスタートし、さらにコレクションが厚みを増した「イレニサ」。空間を生かしたフォルムは自在の着こなしに導いてくれそうです。
