「tiit tokyo(ティート トウキョウ)」の2025年春夏コレクションが2024年8月29日、東京・国立競技場のVIPラウンジで発表されました。
「Their vacations」をテーマに掲げた今回のコレクションでは、ほとんどのルックがブランドのアイコンとも言えるニュートラルベージュ系に染め上げられました。ネグリジェやランジェリーを思わせるレースやチュールなどのシアー素材に、粗野でざらっとしたドライな風合いのサマーツイード風の素材を引き合わせたコントラストが印象的です。
パールモチーフが施されたボディージュエリーや、腰に巻かれたチェーンミニポシェット、ラフィアハットから垂れ下がるチェーンなどが肌と装いにつやめきをプラス。
コレクションは映画『胸騒ぎのシチリア』から着想を得たそうです。2016年に公開されたこの作品は、人気ロック歌手のマリアン(ティルダ・スウィントン)が痛めた声帯と心を癒やすため、恋人と共に南イタリア・シチリアで休暇を過ごす物語です。
マリアンの衣装を手掛けたのはラフ・シモンズ氏。私はこの映画のパンフレットでファッションにまつわるエッセイを寄稿しました。誘惑と嫉妬が入り交じった、セレブたちのバカンスストーリー。見る者の心をざわめかせたエモーショナルな装いは、今でも記憶に残っています。
感情の揺れ動きが装いを通して表現されていく様がランウェイにも映し出されていました。