「pillings（ピリングス）」が2025年春夏コレクションを2024年9月5日（木）、竹橋の科学技術館で発表しました。
ニットに強みを持つ村上亮太デザイナーが新境地をひらきました。軽やかで清らかな印象のブラウスやスティックパンツなどをそろえて、ミニマルでエアリーなルックを提案しています。
デコラティブではないけれど、緻密で繊細なディテールがいっぱい。ドレープ、しわ、たるみ、タックなどの技法や工夫が施され、奥深いミニマルに仕上がっています。
古井由吉の小説に登場する女性像から着想を得たコレクションです。内と外の境界が曖昧に溶け合う、繊細で謎めいた存在感を放っています。オブラートのように曖昧な境界を引くレースカーテンもイメージソースとなりました。
ハイゲージのニットはほぼ布帛に見える質感を宿しました。お得意の手編みだけでなく、機械編みも取り入れることによって、ニットの表現がさらに趣深くなっています。ブランド経営を委ねて、クリエーションに集中しやすくなった環境変化のプラス効果をうかがわせます。
過剰に飾り立てるのはなく、ミニマルを軸に据えつつ、控えめで曖昧な空気感をまとわせました。ベージュやペールトーンなどのやさしげな色は凜とした人物像も引き出しています。光と影が織りなすコントラストがデザインに深みを与えました。
シルエットはセンタークリースを入れたスティックパンツがアイコニック。淡いベージュ系のワントーンはクリーンでしなやか。静かな気品も漂います。透けるシアー素材で仕立てたパンツは、ポケットの袋部分もシースルー。透明感と立体感が交じり合うかのようです。ニットのワンピースは樹脂で固めて仕上げたそうで、オンリーワンの風合いが生まれました。
声高を避けるクリエーションが着る人を引き立てます。騒々しい日々の中にあって、静謐で穏やかな装いの意味を再発見できそうなコレクションです。
pillings
https://pillings.jp/
