アルカンターラ社の成長と成功をリードしてきたのがアルカンターラ社の会長兼CEO(最高経営責任者)であるアンドレア・ボラーニョ(Andrea Boragno)氏です。今回の取材ではボラーニョ氏から貴重な話を聞かせてもらえました。最終回はこのインタビューを中心に、アルカンターラ社のアートやサステナビリティへの取り組みを取り上げていきます。
ローマの工場見学を紹介したリポート第1回はこちら。アートとの関係がテーマになったリポート第2回はこちらをご覧ください。
◆アルカンターラ社がMAXXI 21世紀芸術国立美術館やアーティスト、クリエイターたちとコラボレーションを続けている理由は何でしょう?
――アルカンターラ社がMAXXI 21世紀芸術国立美術館とコラボを始めたのは、2011年からになります。以前から個人レベルでファッションデザイナーやクリエイティブ関係の方々と一緒に、パートナーシップを組んできました。そういった取り組みをさらにアップグレードして、今に至ります。クリエイターのみなさんとの共同制作を通して、アルカンターラ®の素材の良さを様々に解釈してもらい、それぞれの方法で表現してもらっています。
◆アートとの接点を広げることによって、アルカンターラ®はどのようなプラスの効果が見込めるのでしょうか?
――アルカンターラ®の強みは極めて多様であり、機能性やテクノロジーの面でも特徴を持っています。一方、アーティストは彼らなりの表現で、アルカンターラ®という素材の魅力をいろいろな角度から引き出してくれます。彼らのクリエイティビティを通じて、アルカンターラ®の新たな可能性のようなところも表現していけたらいいと感じています。
◆アルカンターラ®はファッションデザイナーとのコラボにも熱心です。優れた素材をどのように活用してもらえると思いますか?
――アルカンターラ®の素材はトレンドに寄り添うことにもできるし、積極的なカスタマイズにも対応できます。だから、いろいろなデザイナー、とりわけ、トップレベルのデザイナーから愛されています。
自在に扱える、アルカンターラ®という素材は、多様なアレンジが可能になるので、気に入ってくれるデザイナーが多いのです。ファッションとの親和性も高いということから、2014年には山本耀司氏のブランド「Y’s(ワイズ)」ともコラボが実現しました。19年5月には5年ぶりとなる2回目のコレクションを東京で披露する予定です。
◆サステナビリティに力を入れていることで有名です。どのような意識で取り組んでいるのでしょうか?
――社会に対する責任を、総合的に取っていかなければいけません。どれだけサステナビリティにコミットできるかは重要です。たっとえば、工場の労働環境、女性の地位向上や CO2の排出などには気を遣わなければならないでしょう。製造面では製品を作るときに使用する水にも目配りが必要です。基本的なルールに沿って、しっかりやっているか、従業員も監視しています。
◆近頃は多くのブランド・企業がサステナビリティに関心を示すようになっていますが、アルカンターラ社の取り組みはどういった点で優れているのでしょうか?
――アルカンターラ社はもう10年も前からサステナビリティを重視してきました。イタリア企業で当時、サステナビリティに熱心な企業はあまりなかった頃です。アルカンターラ社は2009年に「カーボン・ニュートラル」認証を取得しました。今ではいろいろな企業がサステナビリティに力を入れるようになっていますが、我が社はずっと早くから始めていました。さらに、国際的な認証を受けていて、独自の『サステナビリティ・レポート』も公表しています。
◆サステナビリティへの取り組みにはコストがかかります。投資も必要になりますが、こうした経費をどう考えますか?
―― 一般的にはどの企業もサステナビリティの導入を考えるとき、コストと効果をどういうふうに天秤にかけるかで、ジレンマに陥りやすくなるでしょう。でも、アルカンターラ社の場合は、サステナビリティの取り組みは、企業にとっての付加価値を高めることだと考えています。こういう点は経営判断次第でしょう。
インタビューを通して感じたのは、サステナビリティに関する高い責任意識です。「他社がやり始めたから」「世の中がうるさくなってきたから」といった、渋々の動きではなく、他社に先駆けて取り組みを進める態度は素敵に映りました。今ではこうしたエシカル(倫理的)な姿勢が消費者の支持を集めるようになっていて、サステナビリティ面での先進性は、「アルカンターラ®」ブランドへの信頼感や愛着にもつながっていると思われます。
アートに関する支援も、アルカンターラ社への共感や敬意を呼び覚ます理由となりそうです。しかも一過性の気まぐれではなく、長期にわたって、有意義なサポートを提供している点からも、本気度が感じ取れます。優れた製品を生み出しつつ、サステナビリティやアートの面でも先進的な取り組みを続けているアルカンターラ社は、これからのブランド企業が進むべき方向性を指し示しているように思えました。
Alcantara®(アルカンターラ®)
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~関連記事~
(第1回)
「Alcantara®(アルカンターラ®)」って何? ローマの工場見学編
https://riemiyata.com/work/33612/
(第2回)
「アルカンターラ®×ローマ21世紀芸術国立美術館」のコラボレーション・リポート
https://riemiyata.com/art/33646/