2021年3月3日にJ-WAVEでラジオ出演しました。別所哲也さんがナビゲートする、「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」の「KONICA MINOLTA Global Scale」で「2021-22年秋冬ミラノ・ファッションウィークとトレンド」についてインタビューを受け、私のコメントが流れました。
前回は大半がリアルのファッションショーを開いたのですが、今回はほとんどのブランドがオンラインでの発表となりました。なかなか旅行が難しい状況が続いていることを受けて、ショーの舞台や背景に、いろいろなリゾート地や屋外を設定する例も現れています。
社会情勢への目配りも目立ちました。たとえば、アメリカで勢いづいたブラック・ライブズ・マターを受けて、今回はアフリカにルーツを持つデザイナー5組を集めたショーを、すべてのスケジュールに先立って最初に開催しました。彼らはアフリカ系ですが、イタリアで活動していて、テーマは「Made in Italy」でした。こういった、出身や性別、年齢などの違いにとらわれないダイバーシティを重視したコレクションになったのも、今回のミラノの変化と言えるでしょう。
1週間程度のコレクション期間を離れるブランドが現れたのは、近ごろの目立った動きです。今回は看板ブランド的な「グッチ」や「ボッテガ・ヴェネタ」が別のタイミングでコレクションを発表します。ミラノという場所にとらわれない動きも出ていて、「ジル サンダー」はパリに発表の場を移しました。
ファッションの方向感としては、大きく分けて、2つのテーマが打ち出されています。楽観とノスタルジーの2つです。楽観はポジティブな色使いや、希望を感じさせるモチーフ、朗らかなシルエットなどに示されています。新型コロナウイルス問題にようやく出口が見え始めてきたことを背景に、前向きな気分が服に込められているようです。
もう1つのテーマであるノスタルジーも、コロナ問題と関係があります。わずか1年余りで世界の状況はがらりと様変わりしました。もう戻れないかもしれない昔を懐かしむ気持ちが、ノスタルジックな提案につながったとみえます。「あの頃はよかった」と、以前の暮らしにあこがれるような感覚も込められているようです。
サステナビリティーを前面に押し出したクリエーションが増えてきたのは、ミラノで目立った動きです。たとえば、フェイクファーのコートをキーアイテムに選んだり、さらに、心をなごませるような装いが求められていることから、ニットウエアが重視されました。安心や安定を求める気持ちは、靴にも表れています。今回のミラノで増えたのは、厚底のシューズ。靴底はフラットで、しっかり地面をホールドしてくれます。
ミラノコレクションを全体として眺めると、ファッションの楽しさを感じさせるような提案が印象的でした。約1年間にわたって、コロナの影響を受けた結果、ファッションを通じて気持ちをポジティブにしてほしいという思いが伝わってきました。
お休み中の別所哲也さんに変わってシャウラさんとTENDREさんがナビゲートしてくださいました。コメントをたくさん流してくださり、J-WAVEさま、本当にありがとうございました。
ラジコのタイムフリーで1週間聴いていただけます。
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KONICA MINOLTA GLOBAL SCALE
https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/scale/15189.html