ユニクロ「LifeWear」2018-19秋冬コレクション・リポート 5色とレイヤードを前面に 新素材も投入

ユニクロ「LifeWear」2018-19秋冬コレクション・リポート

「UNIQLO(ユニクロ)」の2018-19年秋冬コレクションが先週開催されました。これまでと提案の形式が変わりました。打ち出しポイントを中心に、来季のコレクションをリポートしていきます。

従来の提案と最も異なっていたのは、「色」を押し出しているところです。もともとユニクロはカラーバリエーションの豊富さで知られてきました。ところが、今回は手法が少し違っていて、大きく分けて5つのカラーに絞っています。

5色の中身は「レッド、ブルー、グリーン、ナチュラル、モノトーン」。実際にはレッドと一口に言っても、ワインカラーや鮮やかめの赤、すっきりしたレッドなど、複数のトーンが用意されていて、同じ赤系カラー同士を組み合わせたレイヤードが楽しめる仕組みです。近い色を響き合わせることによって、かえって互いの色を引き立て合う効果が生まれ、全体に深みがもたらされます。つまり、5種類の色ファミリーで組み立てる、味わい深いレイヤードが装いの主役となるわけです。

まずはレッドから。明るい色調の赤いタートルネックにダウンアウターを肩掛け、ボトムスは深い色味のレッドスカート、タイツもワインカラー。赤の濃淡で着姿にリズムを注ぎ込んでいます。

 

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レイヤードは秋冬ルックの楽しみどころですが、慣れないうちは結構、どうやって組み合わせたら様になるかを決めかねてしまいがちです。姿見の前で悩ましい思いをしなくても済む「時短レイヤード」の一つに、「ニアトーンでまとめる」という鉄則があります。

近い色味で調和させれば、全体が落ち着いて映ります。今回の提案ではこの賢いコーデ法があらかじめて織り込まれているような形になっていて、5色のうちから、好みの色を選ぶだけで、ワントーンでまとめたレイヤードを試せる仕掛けです。

レッドはビビッドカラーもあれば、スモーキーカラー、プラム系など、大人っぽいカラーバリエが用意されています。「レイヤードは取り入れたいけれど、カジュアルっぽく見えるのが心配」という、エレガント好きの人にも上品ムードの重ね着を試せます。赤チェック柄のミニボトムスも、同系色のタイツ類とコーデすれば、寒々しく見えにくくなり、秋冬ルックになじませやすくなりそうです。

 

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次はブルーです。青もインディゴやネイビーなど、渋めのバリエーションがそろっています。レイヤードの味わいをさらに深くしてくれるのは、デニムやコーデュロイなど、多彩な素材とのマッチングです。たとえば、ネイビーのタートルネックの上からピンストライプのシャツを着て、さらにデニムジャケットをオン。紺のダウンジャケットを羽織って、合計4枚の重ね着ルックにまとめ上げました。マットなデニムとつややかなケミカル繊維の質感違いがこなれ感を印象づけます。

 

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レイヤードの魅力はシーンフリーにまといやすいところにもあります。先に挙げたコーデも、デニムジャケットをオフすれば、お仕事ルックにも着回しが利きそう。逆に、ライダースジャケットを差し込めば、ぐっとジェンダーレス寄りに雰囲気をスイッチ。アレンジをイメージしやすいよう、同じラックに同系色のいろいろなアイテムが架かっていてます。スタイリングパターンがあれこれと思い浮かびます。

 

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Vネックのインナーダウンはメンズにも登場するアイテムです。先行したウィメンズでの好評を受けて、さらに細部の改良を今季から加えています。メンズ向けはジャケットの内側に着ても、ボタンの開け加減次第で、外から見えにくいつくりになっているので、真冬のスーツルックに組み込むことができます。これも一種のレイヤードと言えます。

 

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ミリタリー風味を帯びたオリーブグリーンは、ストリートテイストの着こなしでおなじみですが、今回のコレクションではきれいめのテイストが意識されています。ワンピースに膝上丈アウターを羽織り掛けたり、パンツルックにショートコートを重ねたり。ラックに架かっていたアイテムでは、ふわふわのボア付きマウンテンジャケット風アウター、スウェット、ダウンジャケットなどが目に留まりました。ウエストがイージー仕様で、ストレッチをたっぷり効かせたジーンズは「人をダメにする」とまでいわれた、抜群のはき心地です。

 

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ナチュラルカラーはベージュやキャメル、ブラウンなどがそろいました。いわゆるオータムカラーで、レイヤードにうってつけ。量感のたっぷりしたアウターとの組み合わせで、穏やかな雰囲気のレイヤードに仕上げやすい色です。ムートン風の風合いを帯びた、進化形フリースは、ずっと触っていたくなるような、やさしくソフトな質感。ノーカラー(襟なし)の羽織り物に仕立てると、上質感をまとえそうです。

 

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最後にご紹介するモノトーンは黒、白、グレーを主体にした、都会的でスタイリッシュなカラーリング。黒ベースのブラウスは白の小さいドット柄を配し、クールさとフェミニンが入り交じったようなたたずまい。ロングニットは細かい編み地で静かなムードに。ウール風な質感を備えたジャージー素材で仕立てた、ピンストライプのオールインワン・ワイドパンツはレディー気分を宿しました。モノトーン系の色はレイヤードに組み込んでもぶつかりにくいから、風合いやシルエットの異なるアイテム同士を引き合わせるミックスコーデ式の重ね着を楽しみたくなります。

5色の傾向を考えてみると、レッドを除くと、中性的かメンズ寄りで、性別にとらわれない着こなしに生かしやすくなっています。

 

ユニクロ「LifeWear」2018-19秋冬コレクション・リポート

 

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こちらはクリストフ・ルメール氏がアーティスティック・ディレクターを務めている「UNIQLO U(ユニクロ ユー)」。個人的に気に入った逸品がフリース素材で仕立てた、もふっとした触感のブルゾン。分厚くフリースを使って、朗らかなシルエットに整えています。特大の襟ボアに頬を埋めたくなるような肌触りです。

センタープレスをきっちり利かせたパンツとの組み合わせで、アクティブな着映えに整えられます。キャップをかぶり、サコッシュを斜め掛けすれば、一段と元気で若々しい装いに。こっくりした渋めの赤はジャージー系素材との組み合わせで、いくつものアイテムが企画されました。着心地が楽ちんなうえ、女っぽさも印象づけやすいから、秋冬コーデに迎え入れたくなります。

 

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プレイフルなシルエットという点で話題を呼びそうなのは、オーバーサイズのダウンアウターです。グローバルトレンドでも相次いで打ち出されている、過剰なまでのボリュームがファニーでアイキャッチー。着痩せ効果も期待できそうです。デニム仕立てのミニスカートは正面を縦に走るダブルジッパーが目をひきます。レギンスを下にはいて、レイヤードにコンパクト感を添える使い方ができます。

 

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ラウンジウエア、ルームウエアは街着とのクロスオーバーが進みます。パジャマのセットアップはアウターを羽織って、部屋から飛び出します。トップスだけをはずして、腰に巻くアレンジも提案されていました。

 

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日本が誇るホールガーメントの技術をあらためてしっかり打ち出すコーナーもありました。24枠の棚に丁寧な畳み方でニットウエアが陳列されている様子は、まるで現代アートの抽象絵画みたい。ディスプレイが着ていたニット・ワンピースは腰から上と下で編み地が全く異なるので、ドラマティックな着映え。

 

ユニクロ「LifeWear」2018-19秋冬コレクション・リポート

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新開発の素材を取り上げた「プレミアムラムウール」のコーナーです。これまでのシーズンのラムウールを左に、新素材を右に並べて置いてあり、実際に手で触れて、質感の違いを確認できるようになっています。触り心地は明らかに違いが感じられ、プレミアムラムウールには極上のやわらかさとぬくもりを感じました。

 

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ラボ(研究室)での実験を思わせる、このような展示には、素材の追求を怠らないユニクロらしさがうかがえます。「ヒートテック」の原料になるアクリル繊維についても、原料から製品に至るプロセスがわかりやすく解説されていて、親近感や信頼感を覚える展示になっていました。たとえば、ストレッチ性の高さを示す比較展示では綿100%とヒートテックで作ったTシャツに風船を入れて膨らませ、膨らみ具合がどれだけ違うかを示しています。商品特性への自信を感じさせる見せ方と言えるでしょう。

水を弾く一方、汗蒸れはしにくいというブロックテック素材に関しても透湿・防水性を動画や展示で具体的に証明しています(https://www.instagram.com/p/BjbJIuZlJAC/?taken-by=i_am_riemiyata)。シームレスダウンについては保温性の高さを体温グラフで明示。いろいろな分野でエビデンス(証拠)が求められるようになる中、消費者のニーズを先読みして、進んで性能や特長を証明していく態度には好感を覚えました。

 

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会場の最後には、写真撮影用の巨大なウルトラライトダウンが天井から吊り下げられていました。天井と床の両方に届く寸法の「ウルトラビッグダウン」はゾウのような大きさ。お言葉に甘えて、私も記念撮影。巨人用の1着は「インスタ映え」も抜群でした(笑)。

 

ユニクロ「LifeWear」2018-19秋冬コレクション・リポート

UNIQLO
http://www.uniqlo.com/jp/

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