ニューヨークブランドの「ANNA SUI(アナ スイ)」は2021年春夏コレクションをデジタルプレゼンテーション形式で公開しました。バケットハットや透けるレース、花柄、軽やかなワンピースなどで、不安の時代に心の落ち着きをもたらすかのような、やさしげでノスタルジーなムードの装いを提案。「Heartland」をテーマに掲げました。
画家のチャールズ・バーチフィールドが鬱の時に描いた自然風景の水彩画やフランス印象派の画家ベルトモリゾに惹かれ、インスパイアされています。
「私は古いものから新しいものを生み出すことが、アナスイの本質であることに気づきました」と述べるデザイナーは、かねてからの持ち味であるヴィンテージテイストに磨きをかけ、サステイナブルな装いに昇華させています。過去のAnna Suiのサングラスフレームからリサイクルされた再生プラスチックスクラップでフレームを作成したアイウエアも用意しました。
繰り返し登場したのは、クロッシェ編みのディテール。帽子やバッグなど、様々なアイテムにかぎ編みが取り入れられ、ソフトな雰囲気を漂わせています。刺繍やキルティングといったニードルワークもあちこちに施され、ヒューマンなぬくもりを宿していました。そして、印象的だったのが、服とお揃いの柄マスク。トータルコーデで魅力的なスタイリングに昇華。
紙の着せ替え人形を何時間も作り続けていた幼少の頃を思い出し、DIYのようなノスタルジーで家庭的なムードも作品に落とし込みました。
外出を控えつつ、構想を練ったデザイナーは、自らの原点に立ち返りつつ、着る人の気持ちに寄り添うかのような、リラックスを帯びた装いを提案。困難な状況にあっても、未来へ向けて夢と希望を持ってというメッセージを感じさせます。