数々のファッション誌に、スリリングな写真を発表し続けたヘルムート・ニュートン(1920年~2004年)の写真家人生を追いつつ、実像に迫ったドキュメンタリー映画『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』が2020年12月11日から公開されます(東京・渋谷のBunkamuraル・シネマ、新宿ピカデリーほかで順次公開)。ニュートンの生誕100年を記念した作品です。
様々な論争や混乱を引き起こした写真家です。挑発的な構図はアイキャッチーな半面、衝撃的。女性の上半身がワニの口に収まったショットを見たことのある人もいるでしょう。
ヌード写真が多く、しかもスキャンダラスな絵づくりが施されていて、批判を浴びることも珍しくなかったようです。映画の英語タイトルにある「The Bad and the Beautiful」という言葉は俗と美の天秤を操った彼にふさわしい表現と言えるでしょう。
この映画を見ると、ニュートンが商業写真のプロに徹していた様子がうかがえます。本人が自らの仕事を語る言葉には、「売れる商品」として構図や話題性を計算する意識があります。
撮影の現場を知る12人の女性たちがニュートンの仕事ぶりや人柄を語りました。登場する女性たちは、女優のカトリーヌ・ドヌーヴ、米国版『VOGUE』誌のアナ・ウィンター編集長、モデルのクラウディア・シファー、米国を代表する批評家・小説家のスーザン・ソンタグなど。中でも、インタビューを受けた女優のシャーロット・ランプリングやイザベラ・ロッセリーニ、ファッションモデルのグレイス・ジョーンズは彼と組んだ現場の様子を、たくさんのエピソードを交えて明かしてくれました。
女性を好んで撮った理由や、ビジネスマンとしての自負なども、本人の言葉で語れていて、ニュートンの作品世界を知る手がかりになってくれます。写真好きの人はもちろん、独創的なプロの仕事や、オンリーワンの生き方に興味を持つ人にとっても、気づきの多い映画です。
ヘルムート・ニュートンと12人の女たち
https://helmutnewton.ayapro.ne.jp/
12月11日(金)よりBunkamuraル・シネマ、新宿ピカデリーほか全国順次公開
監督
ゲロ・フォン・べーム
製作
フェリックス・フォン・ベーム
出演
シャーロット・ランプリング
イザベラ・ロッセリーニ
グレイス・ジョーンズ
アナ・ウィンター
クラウディア・シファー
マリアンヌ・フェイスフル
ハンナ・シグラ
シルビア・ゴベル
ナジャ・アウアマン
アリヤ・トゥールラ
ジューン・ニュートン
シガニー・ウィーバー
スーザン・ソンタグ
カトリーヌ・ドヌーブ
ヘルムート・ニュートンほか