写真家の蜷川実花氏は幅広いアートワークで知られていて、ファッションブランド「M / mika ninagawa」も手掛けています。そのウェディングコレクション第4弾が7月19日、明治記念館で発表されたので、お披露目会にお邪魔しました。今回の目玉は初の和装。着物の花嫁姿はいわゆる「白無垢」のイメージがありますが、いかにも蜷川氏らしくカラーリッチな花嫁衣装が提案されました。
蜷川氏の写真は鮮烈な色使いが持ち味。とりわけエネルギッシュでセクシーな赤が強く押し出されています。監督デビューした映画『さくらん』でも、主演の土屋アンナが扮した花魁(おいらん)の妖艶な衣装が話題を呼びました。今回提案された「和装ウエディング」には、彼女ならではのグラマラスなカラートーンが反映されて、見慣れた和服とは別物のあでやかさが備わっていました。
披露された和装は7点で、1点は白を基調にしていますが、裾に赤が大胆にあしらわれていて、従来の白無垢とは違った「紅白」のおめでたい装いに仕上がっています。もともと純白は「嫁いだ先の色に染まる」という意味があるといわれてきましたが、現代的な結婚観にはなじみにくいところがあり、「主張色」の赤を添えたところにもデザイナーの意識がうかがえます。
残る6モデルはいずれも赤や青が万華鏡ライクに躍る「蜷川ワールド」の和装。白い部分を探すのが難しいほど、カラフルに彩られています。赤系カラーパレットも濃いめレッドやほんのりピンクなど複数の濃淡、色味が組み合わされて、ムードを深くしています。描かれた柄は花を多用しつつ、蝶や和傘などのジャパニーズモチーフも盛り込んで、変化を出しています。和柄に限らず、ハワイや沖縄での結婚式に着たくなりそうなハイビスカス柄もありました。
グローバルモードでジャポニズムがもてはやされ、日本はかえって出遅れた感じもありましたが、「本流」とも言える着物自体に勢いが出てきているのは近頃の目立った動き。着物の常識を踏み越えるようなチャレンジも続いています。現代人に最も身近な和服と言える浴衣が楽しめるシーズンになってきただけに、着物という大切なカルチャーをあらためて見直したい気持ちになります。
“和装” Wedding 1st Collection
http://www.ninamika.com/all/pickup/jp-1st-collection.html
Wedding Dress 4th Collection
http://www.ninamika.com/all/pickup/wedding-dress-4th-collection.html
M / mika ninagawa×KURAUDIA
http://www.kuraudia.co.jp/mikaninagawa/
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