「LOEWE（ロエベ）」は2024年3月1日、パリ東部にあるヴァンセンヌ城の中庭で2024-25年秋冬ウィメンズコレクションを発表しました。強みのハンドクラフトを随所に盛り込んで、「静かな特別感」をまとわせています。
ウィットフルなディテールで、上流階級テイストをひねり返しました。スリーブレスのロングドレスはウエストに特大のバックルを配して、大胆にウエストシェイプ。きれいなドレープを寄せています。
紳士服フォーマルの代名詞的なモーニングジャケットには、ふんわりシルエットのワイドパンツをマッチング。性別や階級、歴史性などの「決まり事」をしなやかにねじり合わせました。ハーレムパンツを品格高くリモデルしたかのようなボトムスをキーピースに選んでいます。
両脇が張り出した見え具合の台形ワンピースはコンパクトなのに、主張がしっかり。ビッグスタッズをあしらったカマーバンド風のベルトもウエストに視線を引き込みます。
キャビアビーズの刺繍に代表される、丁寧な職人仕事がヒューマンな工芸美を宿らせています。クチュール感の高い手仕事技を見せびらかさないで、自然に織り込んでいるのがアンダーソン流です。
たるみやしわ、あふれ、ゆがみなどの不規則な布の所作を計算ずくで落とし込んで、貴族的な装飾の気取りを遠ざけています。上流階級に由来する服飾カルチャーを解体・再解釈するたくらみは、今の「ロエベ」のありようを強く印象付けました。
