「尽くし」をテーマに据えた「matohu(まとふ)」は、色と柄の
プレイフルな作品を披露しました。日本の伝統的な美意識に根差した
独創のクリエーションは早すぎる集大成を感じさせる完成度に至り、
ブランドの成熟を示しました。シグネチャー的存在の長着(ながぎ)も
生地やアレンジの幅が広がり、もはや東京モードの奥行きを
象徴するウエアにまで練り上げられているように感じます。
ファーストルックで男性モデルが長着をたなびかせながら現れたのは、
「matohu」史上初の出来事。今回のショーでは、初めて男性のモデル2人を起用。
男女のモデルが同じようなアイテムを着て登場。
男女デュオのデザイナー(堀畑裕之氏と関口真希子氏)が手掛ける
「matohu」は初めから性差にとらわれない装いを軸にしていて、
今回のコレクションはその原点をあらためて確かめるような
アプローチが目立ちました。お客の4割が男性だという事実も、
性別に関係なく支持されるブランドの特質を物語っています。
「尽くし」の口火を切ったのは、和服の代表的な模様に数えられる「貝尽くし」。
二枚貝や巻き貝、ホタテ貝などの絵柄がうあしらわれ、その後も
「鳥尽くし」や「魚尽くし」のワンピースが登場。和服の伝統的な
尽くしパターン以外にも、ラズベリー、ブルーベリーなどを集めた
「ベリー尽くし」、ブロック塀の透かし模様でそろえた「ブロック尽くし」など、
オリジナルの尽くし模様が装いに動きと朗らかさを添えていました。
そして、後半は「色尽くし」。
日本古来の美的感覚「かさね」や「あはい」をテーマにした過去の
コレクションで試してきたやわらかいカラータッチが深みを増し、
一段とこなれた色使いにたどり着きました。縦糸と横糸で色を変える
織り方で、色の趣を深くし、トーンの異なる複数のピンクを響き合わせた
長着レイヤードや、マルチカラーのストライプとボーダーを交わらせた
パンツルックなどには、様々な色との対話を楽しむかのようなムード。
パステルがかった淡い色を共鳴させたり、ネオンカラーや
シャーベットカラーも巧みに操って、気分が浮き立つような春らしい
カラーパレットに仕上げていました。色紐を結んで作ったトンボを
たくさん集めたヘッドピースには、日本の紐文化へのリスペクトも感じさせました。
フォルムは全体にソフトで、身体の輪郭と穏やかになじんで、
エフォートレスな着心地を感じさせました。とりわけ、長着は春夏らしく
サラリと羽織って、風をはらむような着姿が風流。
デザイナーの堀畑氏は、「毎シーズン、何かチャレンジをしたい。
長着はずっとやっているけれど、今回は見え方を変えてみた。
“尽くし”の本質がむやみな列挙や詰め込みではなく、心尽くしといった
言葉が象徴する、他者とよろこびを分かち合う精神にある」と語りました。
matohu
http://www.matohu.com/en/
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