「MIKAGE SHIN(ミカゲシン)」が2022-23年秋冬コレクションをランウェイショー形式で発表しました。東京・大久保の教会を舞台に、これまでにも増してアートフルな趣向を凝らしたコレクションに仕上げています。
進美影デザイナーが着想源に選んだのは、1980年代のデザイン集団「Memphis(メンフィス)」。従来の約束事にとらわれない創造性でアートやデザインの歴史を書き換えました。今回のコレクションは彼らのマインドや美学からインスピレーションを得ています。
大理石模様やテラゾー(人造大理石)柄が繰り返し装いを彩りました。シルエットの多くはアシンメトリーで、アート作品をまとうかのよう。オブジェ風のイヤリングやネックレスも動きを添えていました。
ひじから先にサボテン上のスパイクを配したロンググローブは装いにスパイスを加えるキーピース。日本の伝統的な有松絞りを応用した、スリリングなディテールが冴えていました。
全体に入り組んだ立体感を打ち出しています。スカートは弧を描いてカッティングされた2層構造で、別色。別生地が下から顔をのぞかせるこしらえ。コートやニットトップスでもこの技法が繰り返し試されていました。
シャツはひじの内側から腕が出る仕掛け。ひじから先がもふもふのボア素材に変わる切り換えも施して、意外感を強めています。
あちこちに動感が盛り込まれていたのも、目立ったアレンジです。ニットトップスはカットアウトを施し、正面の裾でチラ腹見せ。端正なコートはファスナーで袖が開く構造。超ハイカラーやキャンディースリーブもシルエットを揺さぶっています。
「ファッションに自由な芸術と幸せを」というメッセージを掲げたコレクションは、ありきたりではない服をまとう楽しさを再確認させてくれるかのよう。創り手のモチベーションの高さがストレートに映し出されたコレクションです。